テクノロジー最前線を解説 ベンチャー投資家の着眼点紀伊国屋書店大手町ビル店

ビジネス書コーナーの棚端の平台に面陳列で6面並べて展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)
ビジネス書コーナーの棚端の平台に面陳列で6面並べて展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店に戻る。昨秋には一時例年の8割近くまで戻していたビジネス書の売り上げだが、再度の緊急事態宣言で6割程度にまで落ち込み、終わりを見通せない状況が続く。そんな中、書店員が注目したのは、日米を拠点にベンチャー企業への投資・育成を手がける投資家が今世界で起きているテクノロジー動向を解説した本だった。

5G・クラウド・AIが3本柱

その本は山本康正『世界標準のテクノロジー教養』(幻冬舎)。副題に「シリコンバレーの一流投資家が教える」とあるとおり、著者の山本氏は日米に拠点を持つベンチャーキャピタル、DNXベンチャーズのインダストリーパートナーで、日経電子版で「教えて山本さん!BizTechの基礎講座」を連載するなど、世界最前線のテクノロジー事情に詳しい投資家だ。本書はその知見をもとに、最先端のテクノロジー動向を同社のパートナーら各分野の専門家へのインタビューを交えて紹介・解説する。日本企業も最先端に追いついて世界に勝つ道筋を見つけてほしいというのが本書に込めた著者の思いだ。

全体は8章構成。第1章「DXの浸透と黒船の襲来」で、デジタル時代を見渡す見取り図が示される。高速通信規格の5G、クラウド、人工知能(AI)。これがデジタル時代のテクノロジーの3本柱だといい、「すべてで日本は後れを取ってしまいました。特にAI分野が致命的に弱い」と慨嘆する。オリジナルな技術力では優れたものを生み出すこともあるのに、これをもうかるようなビジネスモデルにつなげられないのが日本の弱みと指摘する。

リテールテックなど4分野の動向を詳述

続く2章から5章は、4つの分野で「具体的にデジタル化がどのように進展しているか」「成功している企業でテクノロジーをどのように活用しているか」を見ていく。紹介する具体的な分野は、クラウド経由でサービスを提供する「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」、買い物の形を革新する「リテールテック」、金融分野の変革をリードする「フィンテック」、世界でもまだまだ最先端分野の「ロボティクス・人工衛星・自動運転」だ。そして後半の3章では、分野ごとの事情から離れて、デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か、その成功例とDXへの近道としてのスタートアップとの連携について紹介する。

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