地元魚介の魅力 震災通じ再認識

東北の太平洋岸を中心に甚大な被害をもたらした2011年の東日本大震災。漁船の流失や加工施設の損壊、福島第一原子力発電所の事故による風評被害で、いまだ震災前の状況に戻れない漁業者や製造会社も多い。一方で復興の歩みの中で全国で評価される多くの加工食品も生まれた。福島県出身で缶詰博士の黒川勇人さんによると、18年ごろに起きたサバ缶ブームをけん引したのが、岩手県産(岩手県矢巾町)や木の屋石巻水産(宮城県石巻市)など東北のメーカーだったという。「震災を通じて地元の魚介類の魅力を再認識し、魅力的な商品が生まれた」

食のプロが復興支援に携わり、商品開発につながったケースもある。宮城県女川町で鮮魚店を営む岡清は、イタリア料理店ALMA(東京・渋谷)の佐藤正光シェフと協力。東北の魚介類などを、気仙沼出身の佐藤シェフのレシピと一緒にインターネットで販売している。ステイホームの今、ネットショッピングの機会も増えている。震災を乗り越えて進化した東北の味を堪能してみよう。

■ランキングの見方 商品名(メーカー所在地)。数字は専門家の評価を点数化。(1)メーカー名(2)希望小売価格または直販価格(税込み)(3)内容量(4)公式サイトや販売サイト、電話番号。写真は三浦秀行撮影、スタイリングは野口英世。

■調査の方法 岩手、宮城、福島の各県在住の食の専門家に常温保存が可能な缶詰や瓶詰、パウチ食品などを挙げてもらい、24品をリストアップ。新型コロナ感染防止に配慮しながら試食会を開き「ホームパーティーなどおしゃれな食卓で楽しめる」「料理や酒のおつまみなど調理の幅は広がりそうか」などの観点で1~10位までを選び、編集部で集計した。

■今週の専門家 ▽浅尾貴子(女子栄養大学 専任講師)▽今泉マユ子(管理栄養士)▽黒川勇人(缶詰博士)▽黒瀬佐紀子(缶づめ料理研究家)▽佐藤正光(ALMA シェフ)▽島本孝枝(東北物産館 店長)▽清水崇充(L’EAU シェフ)▽田代和久(ラ・ブランシュ シェフ)▽鳥山祐加子(料理通信社)▽野口英世(フードスタイリスト)▽吉田慎治(「食楽」副編集長)=敬称略、五十音順

(荒牧寛人)

[NIKKEIプラス1 2021年3月6日付]


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