「組織は何のため?」常に問う 利己的な自分を全否定Bリーグ 島田慎二チェアマン(下)

Bリーグチェアマン 島田慎二氏

バスケットボール男子Bリーグのチェアマン、島田慎二氏は現在50歳。プロスポーツ界のトップとしては若手にあたる年齢だ。25歳で起業した島田氏は経営者としてのキャリアが長く、四半世紀に達する。ただ、「30代までの私はトップとして利己的だった」という苦い反省があるという。「何のために組織や会社はあるのか」と問い続ける現在の「ピュアな」リーダー像につながったと振り返る。

<<(上)「この人なら」と思われるのがトップ 言動すべてクリアに

――キャリアを見るとリーダー向きの性格だと感じます。

「自分では分からないですが、結果的にその任を遂行してくることができました。だから、向いていないことはないだろうなと思います。約束を守る、みんなを導くための方向性を示す、有言実行する。リーダーとして、そんな姿勢を大切にしています。私は社会人3年目で独立しましたが、何事にも全力投球することで周りの人から評価してもらったり応援してもらったりして、次のステージを与えられて今に至っているというのが実感です」

「ある意味で退路を断った経歴だと思いますが、私には最初から地位にしがみついて延命しようという気持ちは全くありませんでした。人生では、どうせ何かの決断を迫られるタイミングは来ますから、それが遅いか早いかだけの問題です。早く明確に伝えることで自分も覚悟を決めることができるし、周囲も『いったん見てみようか』となるのではないでしょうか」

「そもそも、のほほんと生きていては真のリーダーにはなれません。ただ、若い頃と今では考え方が全く違っています。20代から30代前半にかけての私は一獲千金というか、とにかく結果を出したいと思ってギラギラしていました。はっきり言って自己中心的なリーダーだったと思います」

社員のことまで考えられなかった

――海外出張専門の旅行会社トップだったとき、業績は良くても社員の離職が多かった。

「そもそも、企業や法人は一体何のために存在しているのか。今なら社員や関係者が幸せになることが基本だと分かりますが、当時は全て自分のためでした。若い頃からタレントの大橋巨泉さんに憧れ、40歳までにセミリタイアしたいと本気で考えていました。社是は『株式公開』。商才はあったのでしょう。営業は得意で売り上げや利益は出せたのですが、社員のことまで考えられる精神状態ではありませんでした」

「当時の会社に社員は50人ほどいました。私は『高い給料を払っているのだから』と、わがままに振る舞っていて、毎晩のように飲み歩いていたのです。これでは人心が離れるのは当然です。ある朝オフィスに行くと、社員がストライキを起こして全く出社してこない、ということがありました。うまく結果を出せていない社員は配置転換すればよかったのに、いきなり解雇して訴訟を起こされたこともあります。過信、慢心があったのです。学生上がりのような子供がいきなり大将になったようなもので、知恵を授けてくれる師匠役もいませんでした」

次のページ
「目指す山」掲げることが大切
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら