――昨季はコロナ禍で1部2部の計36クラブのうち22クラブが最終赤字、11クラブが債務超過でした。

「チェアマンになる前から『島田塾』と称して、全国のクラブで経営指南をしています。そこでの話はいつも、マインドセットから始まります。Bリーグはコロナ禍前に26年に向けた将来構想を策定しました。トップカテゴリーに入れるクラブは競技成績だけで決めるのではなく、事業規模が12億円以上あるとか、ホームで1試合平均4000人以上を集客する、といった条件を設定しています」

「今でも売り上げ3億円規模のクラブの幹部は『そんなの無理』という顔をします。これを『この人について行ったら本当にできるかも』に変えるのが私の仕事なのです。コロナ禍で厳しい状況は続いていますが、スポンサーにも投資価値のあるリーグだと感じてもらわないといけません。常に一挙手一投足を見られていると肝に銘じながら、エネルギーを持って活動することを心がけています」

「何考えてるか分からない」は最悪のリーダー

――沖縄県沖縄市にバスケットに適したアリーナが誕生したほか、他地域でも建設が進んでいます。

「バスケット業界の現状は各クラブが地元の体育館を試合のたびに借りて設営しています。沖縄市のアリーナができたことで、この世界観が変わると思います。クラブ所在地の知事や市長にアリーナの必要性を訴える活動をしているのですが、『地方は少子化だし箱物に投資はできない』といった反応もあります。しかし、『アリーナが街づくりや防災、若者のUターンなど、その地域のメリットにもつながるんです』と繰り返し丁寧に説明することで、納得してもらえるように努めています」

コロナ禍が落ち着けば、南米やアフリカを回りたいというが「今は目の前の仕事に全力投球するだけ」

「Bリーグが盛り上がれば、クラブのオーナーとして大企業が名のりを挙げて、買収などでクラブ運営を手がける例も増えるでしょう。今でもリーグ戦での成績とクラブの売り上げ規模には相関関係があります。私は各クラブや自治体の担当者に対し、常にグラフを示しながら具体的な説明をして理解しやすいように心がけています。スポーツ界でお金の話ばかりすると、うさんくさいと思われるかもしれません。でも、お金の部分をごまかしたらビジネスは進みません」

「リーダーとして最悪なのは、『この人は何を考えているんだろう』と周囲に思われることではないでしょうか。何事もはっきりさせるという私の姿勢は賛否両論あるでしょう。それが嫌な人は離れていくでしょうし、良いと思う人はついてきてくれます。八方美人にならないように気をつけています」

「Bリーグは全国にB1とB2、別法人のB3を合わせて計47クラブがあって、私は求められればどこへでも飛び、ステークホルダーに面会して理念や将来構想を熱弁しています。まるでアイドル歌手のように、分刻みのスケジュールになることもありますが、私は旅が好きだし、しゃべるのも苦ではありません。各クラブの価値が地域で最大化するよう、これからも徹底的に取り組んでいきます」

島田慎二
1970年新潟県出身。日大卒業後、マップインターナショナル(現エイチ・アイ・エス)入社。2001年に海外出張専門の旅行会社を設立。10年に全株式を売却し、世界中を旅した。知人の依頼で12年に現在のBリーグ千葉ジェッツふなばしの運営会社の社長に就任。人気チームへと成長させた。

(鱸正人)

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