面接で伝えきれない。自分の強みを知ってもらえる

中嶋 導入企業には、「back check」の内容を踏まえて最終面接を行うことを推奨しています。「自社に合うかどうか気になるポイントについて、面接で確認してください」と。

例えば、「完璧主義」というコメントがレファレンス内容に含まれているとします。これは、状況によってプラスにもマイナスにもはたらく性質ですよね。仕事の完成度が高いのは良いけれど、完璧を求めるあまり、時間がかかりすぎたり融通が利かなかったりすると、チーム・組織としては困ることもある。その点に懸念があれば、面接で「物事へのこだわりについて、あなたはどう考えていますか」などの質問を投げかけて確かめてみると、判断がしやすくなるでしょう。

森本 この仕組みは応募者側にもメリットが大きいなと思っているんです。今は世の中の変化のスピードが速いから、転職のサイクルも短期化しています。本当に能力があり、信頼されている人であっても、たまたま運が悪かったとか、何らかの不可抗力により短期間で転職を余儀なくされるケースも実際にあります。そういった人が選考で疑念や誤解を抱かれることなく、前の職場の仲間の証言によって正当に評価されるのはいいことだなと感じます。

だから、応募者にとっても、本来の自分の力を発揮して活躍できる会社との出合いをサポートしてくれるツールだと思います。

中嶋 面接の限られた時間の中だけで自分自身を伝えきるのは難しいことです。控えめなタイプの人は、うまく自分をアピールできないことがありますが、レファレンスチェックによって「とても丁寧に仕事をする人」「気配りができる人」といった面を知ってもらえることもあり得ます。

目立った成果を上げていなくても、どのように仕事に取り組んでいるか、人と向き合っているかということが大切ですし、企業もそれを知りたいんです。

候補者の日ごろの業務と向き合う姿勢や努力がきちんと伝わり、企業も安心して採用を決断できる。そして、入社後一日でも早く彼らがパフォーマンスを発揮できるよう、社内のメンバーも受け入れ環境を整えられる。そのように、お互いにとって良い採用・転職につながることを願っています。

森本 私、このレファレンスコメントは、配属やオンボーディング(組織にすみやかになじんでもらって、成果を出しやすくする)にも活用できると思うんです。

「○○なタイプの上司とは相性がいい」と書かれていたら、「○○なタイプの上司といえばAさんだから、Aさんのチームに配属しよう」とか、「営業とマーケティングの採用ポジションがあるが、営業のほうが向いていそうだ」とか。

今後、「back check」を採用以外に活用する構想はあるんですか?

中嶋 広い意味でとらえれば「信頼データ」なので、採用以外にも様々な取引や契約の場面で活用できると思います。雇用形態が多様化している中では、フリーランス人材との業務委託契約などにも活用されています。今後は幅広い用途に対応するためにも、取得できる情報の幅を広げていきます。

良い仕事をしてきた人が、レファレンスチェックツールによって正しく評価され、信頼の積み立てと実績の繰り越しができる世界の実現を目指したいと思います。

◇  ◇  ◇

中嶋さんと話して、レファレンスチェックが今後、日本の中途採用に当たり前に根付いていく可能性を感じています。企業にとって「カルチャーフィット」という観点において、目に見えない価値観の相違を判断する上で有効な手段の一つになると思います。

そして、個人の立場としても、将来、転職活動をする際、「レファレンスチェックをさせてください」と求められたときに、むしろ快く応じられるよう、日々の仕事に真剣に向き合い、仲間との関係を築いておきたいものです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「マンガでわかる 成功する転職」(池田書店)、「トップコンサルタントが教える 無敵の転職」(新星出版社)ほか、著書多数。

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