みなさん缶にちは! 缶詰博士の黒川勇人です。僕は幼いころから缶詰大好き人間で、これまで世界50カ国、1500種類以上の缶詰を食べてきた。あの頑丈な金属缶をぱきりと開ければ、中に世界中の美味が詰まっている。こんなワクワクする食べ物がほかにあるだろうか(いや、ない!)。この連載では、様々な切り口から絶品・珍品缶詰を紹介しようと思う。商品開発の裏話や、缶詰を料理に使う「缶たんレシピ」も添えていく所存であります。
第1回は「ご当地缶詰」。日本各地に産品を生かしたご当地缶詰があり、その数は今や数百種類に上る。ほとんどの缶詰が通販で買えるから、食べるだけで旅行気分を味わえるのだ。今回は北海道から沖縄までの国内5缶と、海外1缶を紹介しますぞ!

北海道のご当地缶詰、味の海豊(北海道函館市)の「幸福のずわいがに」はかなり変わっている。高級食材代表のズワイガニとカズノコを混ぜ、それを庶民代表のマヨネーズであえてからアオサノリで風味付けという、もうワケが分からないつくりなのだ。
どんな味か想像できないし、そもそも高級食材をマヨあえするなんて「けしからん!」と思う。でもカズノコはぷちぷち弾けてうまみが広がり、ズワイガニにはマヨ味がしみこんで味が濃い。きちんと調理されたおいしさだ。それにしても「けしからん!」

お次は「タコのアヒージョ」。
宮城県南三陸町には志津川湾がある。周囲を山に囲まれた小さな湾で、ミネラル豊かな川水が流れ込むおかげでプランクトンが育ち、それを食べて育つエビ、アワビ、ウニなどどれも絶品。中でもマダコはアワビを食べて育つといわれ、昔からタコなら「西の明石、東の志津川」といわれるくらい有名。