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赤いのに白身魚 おにぎり・回転ずしで人気NO.1のサケ

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NIKKEI STYLE

ボンジュール! パリからお届けする「食の豆知識」、今回のテーマは「サケ」。「好きな魚はなんですか?」と問われたら、おそらく多くの人が答えるのが、サケではないだろうか。

300年以上の歴史をもつ老舗、日本茶と海苔(のり)製造加工・販売でおなじみの山本山(東京・中央)が約4000人を対象に行った「好きなおにぎりの具ランキング」では、サケが20代以下を除くあらゆる年代で1位を占め、総合ランキングでも1位に輝いた。断トツの人気がうかがえる。総務省の家計調査(2人以上の1世帯当たり 魚介類品目別年間支出金額および購入数量 2017年~2019年平均)でも、サケの消費量はマグロ・ブリをおさえて堂々の1位。サケは日本人の生活にとても身近な存在なのだ。

サケは赤みがかかった身をしているが、実は白身魚であることをご存じだろうか。魚は、筋肉中のミオグロビンという血色素の含有量により、赤身と白身に区分されるといい、サケは白身魚に分類される。では、白身のサケがなぜ赤い色をしているのか。その「赤く見える正体」が、サケの肉に含まれている「アスタキサンチン」という赤い色をした機能性物質。

この物質、科学的にはニンジンなどに含まれているベータカロテンと同じカロテノイドの一種で、エビやカニの殻にも多く含まれている。サケの身の鮮やかな「サーモンピンク」色をもたらすこのアスタキサンチン、最近では、老化などの原因となる活性酸素を除去する抗酸化力にも優れているということで、注目を集めているようだ。

さて、サーモンピンクという色の名前にもなっている「サーモン」。回転ずしでおなじみだが、「サケとサーモンの違いは?」と聞かれて、即答できる人はそう多くないだろう。かくいう筆者自身も「サーモンはサケの英語版でしょう?」くらいの感覚でしかなかった。

調べてみると、日本におけるサケとは、主に北海道および三陸・日本海で獲れる「シロザケ」の総称で、基本は加熱して食べるもの。 一方のサーモンは、近年、急速に日本での供給量が拡大した「輸入品で生食が可能な、外来のサケ類総称」として市場において認知されている。ちなみに、たまにみられる「シャケ」の呼び名については、一説によるとサケが江戸なまりによってシャケと呼ばれるようになったのではないかと言われている。筆者は江戸の育ちではないが、ずっと「シャケフレーク」だと思っていた。

なるほど、サケとサーモンの違いについては主に生息域と食べられ方の違いと言うことができそうだが、ここでもう一つ似て非なる魚「マス」がある。ここフランスでは、年間を通して「saumon」(サーモン)が食べられるが、同じくらい「truite」(マス)も身近な魚だ。

そもそもサケとマスは見た目や味が酷似しているが、一体何が違うのだろうか。筆者が調べたところ、サケの仲間は、一生を淡水(塩分を含まない水)で生活するものと、一生のある時期、海水で生活を送るものとに分類できるらしい。

英語では、淡水生活オンリーのものを「trout」(トラウト、日本語訳はマス)、海に降るものを「salmon」(サーモン、日本語訳はサケ)と呼んでサケの仲間を区別しており、日本語もそれに準じているが、その名称の付け方は極めて曖昧なのが現状。例えば、「マスノスケ」という種。英語では「キングサーモン」と呼ばれる降海型の種なので、前記の区分にあてはめれば、本来「サケノスケ」とされなくてはならないはずだ。

ここでふと筆者の頭に浮かんだのが、日本でもっとも有名なサケ缶のひとつ、「あけぼの さけ」。商品のパッケージには「からふとます」の表記が……。これは一体どういうことなのだろう?

販売元で、漁業、養殖、水産物の輸出入・加工・販売を手掛けるマルハニチロコーポレートコミュニケーション部の本島さんによると、「『あけぼの さけ』には、身質が缶詰に適しており、適度な脂質と軟らかさが味わえるとされる北海道東沖で獲れた旬のカラフトマスを使用しています」

ちなみにカラフトマスは海に降りる種で、英語では「ピンクサーモン」と呼ばれている。よって、厳密に区別すると本来なら和名も「サケ」なはずだが、なぜか「マス」なのだ。さらに発売当時のパッケージを見ると、「からふとます」の表記がない。当時は原材料の表示義務がなかったため、「さけ」およびピンクサーモンの「PINK」とだけ表記していたようだ。「現在は食品表示法のもと一括表示において原材料の『カラフトマス』を表示しています。加えて、お客さまへの誤認防止のため、あえて正面にも分かりやすく表示しています」(本島さん)

なるほど、サケとマスが併記されているのには消費者への細やかな配慮があったということか。とにもかくにも、サケ・マスの区別や呼ばれ方については古今東西、非常に複雑なことは理解できた。実に奥深くそしてまか不思議なサケの世界だ。

さて、サケの仲間たちについてだいぶ理解が深まってきたところで、なぜそれらが私たちの生活にこんなに身近な存在になったのかも探ってみよう。意外なことに、元来日本では、サケを生で食べる習慣はほとんどなかったようだ。というのも、天然のサケやマスは、アニサキスなどの寄生虫を持つことが一般的。 そのため「サケは生食できない」という定説があり、「荒巻ザケ」などのように保存方法を高める加工をした塩蔵物が一般的に消費されていた。

「サケ缶の発明」という革新があったのは1910年のこと。これによりサケの保存・簡便性が飛躍的に進歩したうえ、第2次大戦後、「サケ・マスふ化事業」の技術向上により北海道のサケ・マス漁獲量が増加。誰もが食べやすい「サケフレーク」などの加工品が開発された結果、サケの消費量は大きく拡大した。

しかし、1970年代後半には「200海里水域制限」などの相次ぐ海洋規制により、国内における天然のサケの供給が伸び悩む。一方、海外では1980年代後半以降、ノルウェーやチリを中心にサーモンの海面養殖が盛んに行われ、幾多の困難を重ねながら「身色や鮮度、脂乗りの良さ」をアピールできるものにまで到達した。

そして日本では、この時期に相まった回転ずし店の伸長により、「生食可能なサケ」として輸入モノの「アトランティックサーモン」や「サーモントラウト」が出回り始め、現在のサーモン人気の礎が築かれることとなった。近年では、日本各地でも養殖のサケ・マスを地域ブランド化した「ご当地サーモン」に取り組む動きがあり、サーモンはますます「魚を食べる楽しみを広げる」重要なアイテムとして定番化している。

その証として、マルハニチロが全国の男女3000人に対して行った「回転寿司に関する消費者実態調査2020」によると、回転ずしでよく食べているネタは9年連続でサーモンが1位だ。そしてここフランスでも、アジア系の総菜店などで気軽に買える「Sushi」といえば必ずサーモンが入る。これほどまでに世界で愛されている魚があるだろうか。

「ここ最近では、『完全陸上養殖』の発展に注目が集まっています」と、マルハニチロの本島さん。これは、孵化場から種苗の育成、成魚に至るまでの養殖をすべて陸上のプールで行う、人手による完全管理の養殖方法で、日本国内でも大規模な養殖場の建設が始まっている。

「沿岸漁業での漁業権や、海面養殖による環境汚染の問題を解決する画期的な方法でもあり、今後の日本への『サーモン』供給にも大きく影響すると考えられます。マルハニチロでも、山形県でサクラマスの陸上養殖の実証実験を行っています」(本島さん)

天然のサケやサーモンは、広大な海の栄養を蓄えながらも、人間の住む生活圏に最も近くまで接近する大きな魚として、古来ほかの魚種とは異なる「人間とのかかわり」があった。本島さんはこう締めくくる。「この『人間とのかかわり』が文化として根付いていたことにより、『養殖サーモン成功への熱意』につながったのだと思います。このような貴重なサーモンが今後も人々から愛され続け、常に食卓を楽しませることを願っています」

普段、何気なく食べているサケとその仲間たち。その複雑で不思議な世界を一度知ってみると、いつものサケをより味わい深く感じることできるはずだ。マルハニチロがこの季節にイチオシのレシピ「サケフレークの手まりずし」を、酢飯と自家製サケフレークで作ってみた。桜の画像と一緒に、ステイホームでお花見気分はいかが?

(パリ在住ライター ユイじょり)

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