ABEMA ミレニアル世代のドキュメンタリーを配信で
2020年12月10日からABEMA初のオリジナルドキュメンタリー番組「MILLENNIAL/ミレニアル」の配信が始まっている。2000年代以降に成人になった"ミレニアル世代"の視聴者に、様々なジャンルで活躍するミレニアル世代の若者たちの多様な生き様や価値観を追いかけて届けるというドキュメンタリーだ。
「オオカミちゃん」シリーズなどの恋愛リアリティーショーや、ドラマ「17.3 about a sex」といった若者を対象としたコンテンツを発信するABEMAが、若者向けのドキュメンタリーを手掛けた狙いを同番組プロデューサーの池田克彦氏に聞いた。
「もともと、これまで様々な番組を通して若者の夢や恋を応援してきたABEMAで、いつかは『若者向けのドキュメンタリーを作りたい』という構想はあったんです。リアリティーを映すことで視聴者が感じるものがあるだろうし、生き方の指針にもなるはずだと。ただドキュメンタリーというと、若者が手を出しづらいイメージもある。そこを、ドキュメンタリーの主役として、まだ完成していない、同世代の発展途上な人たちを取材することで、視聴者に何かを感じてもらいたいと考えました」
第1回は若手俳優の岡田健史(21歳)。その後は歌手にモデルに活躍するYOSHI(17歳)や、若者世代に人気のクリエーターkemioらが続く。
「人選にはすごく悩みました。トップランナーであっても、実は私たちと同じように悩んでいる人をリストアップしたいと考えたのですが、やはりある程度の知名度が必要。一方で新しいことに挑戦している姿を追いたい。この2つの軸の折り合いを意識しました」
ナレーションには、同じミレニアル世代である飯豊まりえを起用。若者に見てもらえるドキュメンタリーを作るために、見せ方にもこだわった。制作は「情熱大陸」をはじめ、数々のドキュメンタリー番組を手掛けるテレビマン・ユニオンと協力。スタッフはABEMAの番組にも携わっているため、配信の王道と、テレビの老舗の王道の両方を理解している。
配信時間は30分だが、地上波とは異なり、厳密には決めていないという。これは、メッセージが伝わりやすい長さにすることを重視したから。この割り切りも配信ならではの試みと言える。
「何より、番組としてはここでしか見られないということにこだわっています。1回目の岡田健史君のときも、密着期間の中で、本音の部分を深掘りすることにこだわったんです。出来上がったものを見ると、若者向けに作ったのに、38歳の僕が見てもグッと響くものがありました」
作ってみて分かったことは「ミレニアル世代は思っていた以上に多様化している」ということだったという。「100人いたら100人の頑張り方がある。だからこそ、本当に自分たちに近いと感じられる。この番組を見た人が勇気を得て半歩先に進んでもらえたらと思っています」
(「日経エンタテインメント!」2月号の記事を再構成 文/前田かおり、かみゆ編集部・小沼理)
[日経MJ2021年2月26日付]
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