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なやみのとびら、著名人が解決!

ひいきが変わったと知らせるべきか漫才師・作家、山田ルイ53世さん

2021/3/4

なやみのとびら、著名人が解決!

やまだるい53せい 1975年兵庫県生まれ。愛媛大学中退後に上京し、芸人の道へ。99年、ひぐち君と「髭男爵」結成。2018年には月刊誌連載の「一発屋芸人列伝」が「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞受賞。
やまだるい53せい 1975年兵庫県生まれ。愛媛大学中退後に上京し、芸人の道へ。99年、ひぐち君と「髭男爵」結成。2018年には月刊誌連載の「一発屋芸人列伝」が「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞受賞。

10年以上、あるミュージシャンの大ファンと公言し、ライブ会場で友人もできました。しかし最近、別のバンドに「ドハマリ」。友人とのLINEグループにいづらく、「心変わり」を伝えた方がいいのか、たくさんあるCDなどは?……悩んでいます。(奈良県・40代・女性)

◇   ◇   ◇

長らくごひいきにしてきたミュージシャンから、別のバンドへくら替えしようという相談者。友人とのLINEグループに「いづらくなった」とお悩みですが、どちらかというと、「抜けづらい」という状況ではないでしょうか。

10年以上の歳月で沈殿した、しがらみという名の泥濘(ぬかるみ)。足を取られ、旅立ちをためらうのも無理はありません。

とはいえ、ライブ会場で出会ったお仲間は“生涯の友”と呼ぶほどでもなさそうです。いや、“某ミュージシャンのファン”という絆は確かでしょうが、裏を返せば、つながっているのはその一点のみ。“ママ友”によく似ています。

行事の手伝いや保護者の集まりにランチ会など、しんどい付き合いを続けるのも、やはり「我が子が同じ小学校(幼稚園)に通っている」という共通点があるからです。

この“共通点”が意外とやっかい。“相手の心の扉を開く鍵”だと錯覚しがちですが、たいていの場合、“十数文字からなるパスワードの1カ所”が判明した程度のことでしかない。「共通点がある」=「友人」ではないのです。

実際、相談者があす死ぬ運命でも、昼夜を問わず走り続け駆け付ける人などいないでしょうし(失礼!)、そんなことを期待するのも、されるのもお門違い。

通常、LINEグループにメロスはいません。もちろん、無二の親友といった間柄に発展するケースもなくはないでしょうが、もしそうなら、音楽の趣味が変わったくらい屁(へ)でもない。

いずれにせよ、ショーシャンクの空の下、脱獄劇を繰り広げるわけでも、「日本の夜明けぜよ!」と幕末の志士よろしく土佐藩を去るわけでもありません。“ママ友”との縁とて、子供の進路が違えば基本そこで終わり。せいぜい「意気投合した人とパーティーを抜け出す」レベルの話です。気楽に考えましょう。

ただ一つ。宴の席から姿を消す際は気付かれないようにするのがマナー。「もう興味がない!」などと宣言されては、場が白けるだけです。

なるべくスムーズにフェードアウトするのが上策ですが、CDは保管しておく方が賢明かと。当方しがない一発屋。人の気の移ろいやすさ、飽きっぽさは身をもって知っています。

[NIKKEIプラス1 2021年2月27日付]


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