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震災機に広がった寄付文化 定着へ税制改善など不可欠

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NIKKEI STYLE

東日本大震災からもうすぐ10年になります。被災地には国内外から多くの寄付が寄せられ、被災した人たちを勇気づけました。これをきっかけに地震や豪雨などの被災地に、ふるさと納税やクラウドファンディングなどで寄付をする人が増えています。日本にも寄付文化が根付いてきたのでしょうか。

寄付の統計は、日本ファンドレイジング協会という組織が「寄付白書」をまとめています。最新版は2016年の数字で、個人寄付額は7756億円、名目国内総生産(GDP)の0.14%とされています。

10年までは5000億円前後でしたが、東日本大震災のあった11年は1兆182億円に拡大。12年は6931億円でしたが、その後は年々増えており、震災をきっかけに寄付が広がっているのは確かなようです。

ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京・渋谷)の調査によると、災害支援のためにふるさと納税をしたのは、東日本大震災の11年からという人が18.8%で最多でした。次いで熊本地震のあった16年が17.4%、九州での豪雨や首都圏などを台風が襲った19年が10.9%。災害支援のための寄付を2件以上した人は68.9%、5件以上も12.3%あり、被災地への寄付は定着しつつあるようです。

災害が多発する中、被災した自治体にとって寄付は重要です。避難所の開設や水・食料の提供などはスピードが求められるため、寄付するとすぐに自治体の口座にお金が入るふるさと納税は、緊急時に当座の資金として重宝するといいます。

寄付の形態で増えているのがネット上で少額の寄付を募るクラウドファンディングです。特に最近はコロナ禍で苦境に陥った飲食店や文化芸術分野のアーティストなどを支援する手法として広がりました。こうした動向をつかむため、日本ファンドレイジング協会は20年の寄付市場の動向を寄付白書にまとめることにしています。

広がり始めた日本の寄付市場ですが、海外に比べるとまだまだのようです。寄付白書によると、16年の個人寄付額は米国が30兆6664億円(GDPの1.44%)、英国は1兆5035億円(0.54%)、韓国は6736億円(0.50%)でした。

どうすれば日本の寄付市場も海外並みになるのでしょうか。トラストバンクの須永珠代会長兼ファウンダーは「税制優遇が大事だ。ふるさと納税は寄付額の100%近くが控除される有利な制度だが、寄付先は自治体に限られている。これを大学や研究機関、NPOなどに拡大すれば、お金の流れががらっと変わる」と話しています。

須永珠代・トラストバンク会長兼ファウンダー「新型コロナで新たな動き生まれる」

寄付文化は日本に根付いてきたのか、トラストバンク(東京・渋谷)の会長兼ファウンダー、須永珠代氏に聞きました。

――東日本大震災から10年になります。震災は日本の寄付文化にどんな影響を与えましたか。

「震災をきっかけに海外からたくさんの寄付をいただいた経験が大きい。金額が大きかったのは米国で、人数では台湾だ。日本を応援してくれる海外の方がいるのだから、同じ日本にいる者として寄付やボランティアをしたいという人が増えたと感じた。実際、ふるさと納税を災害支援のために使ったのは東日本大震災から、という人が2割近くで最も多い」

――地震や豪雨などの被災地にもふるさと納税が集まるようになりました。

「2016年の熊本地震では、被災した自治体に代わってほかの自治体が被災自治体へのふるさと納税を受け付ける『代理寄付』を始めた。これがきっかけになったという人も目立つ」

「近年の豪雨災害で海外から『被災地にふるさと納税をしたいので、英文のサイトを作ってほしい』という要望があり、数日で英語版を作った。観光で日本に訪れたことのある人が増え、SNS(交流サイト)で被災の状況がすぐに伝わるので、海外からの寄付も増えている」

――ふるさと納税は19年度の5000億円規模から20年度は6000億円規模になりそうです。

「他の通販と同じように、コロナ下の巣ごもり需要で伸びている。ふるさと納税は今までお金をたくさん持っている人がするものという印象があった。コロナ下では、パートやアルバイトの方々が『収入がなくなったときに、2万円でも3万円でもふるさと納税をしてコメや肉をもらえば家計の足しになる』と考えて、新たに始めるような事例が増えている」

――寄付の形も多様になり、様々な目的のクラウドファンディングが増えています。

「コロナ下で今まで参入していなかった人たちが参入してきた。例えば、飲食店やアーティストなどリアルで勝負してきた人たちがなすすべをなくしたときのツールの一つとして使い始めた。クラウドファンディングは大変そうだと思われていたが、ハードルが一気に下がった」

――こうした傾向はコロナが収束しても元には戻りませんか。

「戻らないと思う。一度ハードルを越えると、リピーターになる。ふるさと納税はリピート率が高いのが一般の通販と違うところだ。収入がある限り、ふるさと納税をできる枠があり、やめるインセンティブがない」

――税金の使い道を自分で決められるふるさと納税を通じて、社会貢献や公的な分野への関心は高まってきていますか。

「ふるさと納税を4~5年やるとそういう意識が育ってくる。初めは返礼品がお得だからという理由で始めた人がほぼ100%だったが、自治体のお金の使い道などをブログなどで丁寧に伝えていくと、意識が醸成されていく」

「例えば、災害が起こったとき、被災地にふるさと納税できるよう毎年、自分で寄付枠をつくる人が出てきた。災害が相次いだ年には枠を使い切ってしまって寄付できず、残念がっていた。寄付したお金の使い道への関心は高まってきている」

――寄付文化は根付いてきたといえるでしょうか。

「日本に寄付文化は育たないという固定観念は少しずつ外れてきていると感じる。寄付白書によると、米国の寄付の市場は30兆円といわれる。人口が日本の3倍なので、米国並みの寄付文化があれば、日本では10兆円が一つの目標になる」

――日本の寄付市場が10兆円をめざすには何が必要だと考えますか。

「税制優遇が大事だ。ふるさと納税は寄付額の100%近くが控除される有利な制度だが、寄付先は自治体に限られている。これを大学や研究機関、NPOなどに拡大すれば、お金の流れががらっと変わってくる」

「寄付には2種類ある。攻める寄付と守る寄付だ。NPOはどちらかといえば『守る寄付』で、大学や研究機関は『攻める寄付』だ。大学や研究機関へのお金の流れは国力に関係してくるので大事だが、なかなかお金が回らない。ここに寄付が増えれば日本全体にとって大きなメリットになる」

――ふるさと納税は使う側の意識も変えます。

「ふるさと納税が1兆円規模になるのは今のままでは難しいと思うが、仮に1兆円になったとしても国の予算の1%だ。地方交付税の16兆円に比べても、それほど大きいわけではない。しかし、自治体が自由度の高いお金として意識できるのは大きい」

「例えば、寄付を受けるとすぐに自治体の口座に着金するので、災害時はこれがありがたいという首長が多い。国も特別地方交付税などで支援してくれるが、査定などがあって時間がかかるためだ。ふるさと納税の使い道を表彰しているが、今回はオンラインでの医療相談を始めた自治体が受賞した。基金にしておけば、コロナのような緊急時にも使いやすい」

「地方の人口減少は驚くほど早い。地域にあった新しい産業を生みだし、限られたお金を地域で循環させる仕組みを早くつくらないと衰退してしまう。ふるさと納税は自治体にとって自由に使える小遣いのような性質のお金だ。自治体は『攻め』に使い、今まで地域になかった産業をつくり出すきっかけにしてほしい」

(編集委員 斉藤徹弥)

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