朝日を浴びて目覚めることを実践(イラストはイメージ=PIXTA)

それは1カ月以上も長引いた。そして季節の変わり目ごとに風邪ひきは繰り返され、地元の病院では院長先生に「また来たね」と迎えられるようになった。

「東京から越してきた人の中に、ひどい風邪をひく人がけっこういますよ。免疫力が下がっているのかな、忙し過ぎて。ストレスや寝不足も溜まるし、食べ物に季節感がないでしょ。肉はほどほどがいいんだよね、ほんとは」と先生はおっしゃる。その一言一言に諭されているようで多少居心地の悪さを感じつつも、田舎暮らしの設計図を描き直すきっかけになった。

例えば仕事は完全には辞められない。だが、猫のお尻を癒やした田舎のきれいな空気の力を借りながら、ストレスを溜めない工夫はできるだろう。野良仕事も、収穫量を高望みすれば無理をして、いずれ体を壊す。山育ちではない私なりのやり方で気長に続けられる規模に絞ろう。

猫の免疫力が下がったのも、私が不規則な生活をしていたからなのだろう。猫のように気持ちよく熟睡する為には、その日のうちにベッドに入り、朝日を浴びて目覚めるようにする。

どれも完璧には守れてはいないが、気がつけば20年以上も田舎暮らしを続けてこられた。もう風邪とも縁が切れた。

引っ越し前、生き方を変えるなんて大きな目標を掲げていた自分が今では照れ臭い。それよりも大事なのは、日々の小さな実践を積み重ねることだった。それが自然に一枚の絵になっていくのだろう。私の絵はまだまだ描きかけだ。

地方に引っ越しを考えているなら、田舎だけでなく地方都市という選択肢もある。

電車の窓から外を眺めている時、ふと空気が変わったのを感じたら、見えているその町が次に住む場所かもしれない。

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント