2021/4/4
「ベンテイガ」は、最高速度290km/h、0-100km/h加速4.5秒というパフォーマンスを誇る一方で、走行条件によって8気筒のうち4気筒を休止するシステムも採用。高い動力性能と環境性能を両立させているという

ドライブモードは「Comfort」「B」「Sport」の基本3種に任意設定できる「Custom」が加わり、乗り心地も相応に変化する。Bモード(Bentleyマーク=一般的なAutoに相当)は丹念につくり込まれているようで、実はこれ一択でもまったく問題ない。自分もずぼらなほうだから家電製品やカメラなどでは何も考えずに推奨モード的なもので使い過ごすことが多いが、クルマだけは手に入れたときに取説をじっくりと読んでモード切り替えなどがあれば試してみる。パワートレインやシャシーが持つポテンシャルや特性、つくり手の思いなどを知ると幸せな気分になって愛着が湧くからだ。

5人乗り仕様のラゲッジスペース容量は484リッター。荷室内の左側面にあるスイッチで、荷物の積み下ろしが容易になるよう車高を下げることができる
垂直に切り立つような大型のラジエーターグリルが目を引く「ベンテイガ」のマイナーチェンジモデル。街なかでの存在感は圧倒的だった

だんだん体になじんでくる

ベンテイガで最も幸せを感じたのはComfortモードだった。ドライブモードが切り替えられるのは今どき特別なこととはいえないが、Comfort(やそれに準じるモード)ではその多くの場合、街なかなど低速域では快適なものの、速度や走行負荷が高まるにつれて状況に合わなくなっていくことが多い。スプリングが金属ゆえ固定レートなのにダンパーが減衰力可変式となれば、整合性がとれない領域が出てくるのは当然である。重量級のラグジュアリーSUVで幅広く良好なマッチングをとるには、ベンテイガの例をみるまでもなく可変レートのエアスプリングシステムは必須だろう。

今回は高速道路で郊外に足を延ばし、約360kmを走行。燃費は車載燃費計計測値で7.5km/リッター、満タン法で7.0km/リッターを記録した

さらに、車両重量が重く車高も高い大型SUVで快適な乗り心地とフラットな操縦安定性を両立させるためには、素早く幅広いレンジでロール剛性をフレキシブルに可変できるスタビライザーが有効だ。ベンテイガが世界初とうたう「アクティブロールコントロールテクノロジー」は、そういった要求に応えるシステムである。リアトレッドを20mm広げてきた新型は、基本的なスタビリティーを向上させたことでステアリング操作に対する俊敏性が高まり、結果的に正確性が高く一体感のあるハンドリングに進化した。ラグジュアリーの頂点であると同時にドライバーズカーでもあるベントレーの世界観においては、そこに磨きをかけることも大事なのだろう。

自分のライフスタイル……というよりも、むしろお財布事情とは相いれないから、1泊2日の、距離にしてたった300km強の短い付き合いは極めて冷静に過ごし、なんの感慨もなく別れるのだろうと想像していたが、最後にベントレーオーナーならあまりやらないだろうセルフ給油をしていると、なんだか寂しくなってきた。短いながらも高速道路やワインディングロードで濃厚な試乗時間を過ごしているうちにすっかりと体になじみ、しまいには街なかのせせこましい道でもあの巨体を意識することなく、乗り慣れた愛車のように運転できたからだ。

それだけベンテイガは、ドライバビリティーおよびユーザビリティーに優れた、人に寄り添うクルマづくりがなされているのだろう。そこには秘伝のレシピや何やら崇高なフィロソフィーがあるに違いない。そう思わされたということこそが、ベントレーというラグジュアリーブランドの世界観に見事にはまってしまったということなのかもしれない。

(ライター 石井昌道)

■テスト車のデータ
ベントレー・ベンテイガ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5125×1995×1755mm
ホイールベース:2995mm
車重:2440-2530kg
駆動方式:4WD
エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:550PS(404kW)/5750-6000rpm
最大トルク:770N・m(78.6kgf・m)/2000-4000rpm
タイヤ:(前)285/40ZR22 110Y/(後)285/40ZR22 110Y(ピレリPゼロ)
燃費:13.3リッター/100km(約7.5km/リッター、WLTPモード)
価格:2185万7000円/テスト車=2954万6900円
オプション装備:ボディーカラー<ソリッド&メタリック>(84万1400円)/カーペットオーバマットにコントラストバインディング(3万3370円)/コントラストステッチ(35万2140円)/マリナードライビングスペック<22インチブラックペイント&ブライトマシン仕上げホイール>(210万1080円)/サンシャインスペック(30万4310円)/ツーリングスペック(115万8330円)/5シートコンフォートスペック(77万4700円)/アコースティックサイドガラス(11万5700円)/ブライトクロムロワーバンパーマトリクス(17万6700円)/Breitling clockダークマザーパールのフェイス(55万9520円)/イルミネートトレッドプレート(23万7110円)/TVチューナー(18万0580円)/コントラストシートベルト(11万8560円)/Bentleyダイナミックライドシステム(73万6400円)

[webCG 2021年2月20日の記事を再構成]

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