ワクチン接種を受けた人たちが集まるのは安全?

ワクチン接種を受けた人たちが集まってよいかどうかを判断するのに必要なのは簡単な“計算”だと、スワルツバーグ氏は言う。この計算でいま考慮すべきは、参加者一人ひとりが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)にさらされる可能性であって、その人がワクチン接種を受けたかどうかは関係ない。なぜなら、たとえワクチン接種を受けた人でも、感染する可能性が多少はあるからだ。

時間がたつにつれて、集団のなかでより多くの人がワクチン接種を受け、感染者が減少を続けていけば、ワクチン接種を受けた人たちが集まることは「安全な行動」となり、その後も安全性は増していくだろうと、モス氏は言う。

「安全を図るなら、ワクチンがより広範に行き渡るまではもうしばらくの間、できる限り社会的距離を保つ対策を続けるべきでしょう」。米コーネル大学の免疫学准教授シンシア・リーファー氏はそう語り、大勢で集まるのを避け、マスクを着用し、相手から十分な距離(厚生労働省は2メートルを推奨)を取るというガイドラインに従うことを勧めている。

また、まだ発見されていない新たな変異株に対して、ワクチンがどの程度の効果を発揮するかは未知数だ。

「現在のCOVID-19の流行が拡大するほど、変異株が発生する可能性は高まります。ワクチンが効かない新たな変異株がいつ出現するかを予想することはできません」とリーファー氏は言う。

まだ承認されていないノババックス社のワクチンは、南アフリカで発見され、その後他国にも広まった変異株に対して、有効率が89.3%から49.4%へと大幅に低下した。ファイザーとモデルナは、英国で最初に発見された感染力の高い変異株に対して、それぞれのワクチンがどの程度効果を発揮するかについて、現在もテストを進めている。

接種後も、マスクを着用すべき?

少なくとも当分の間は、だれもがマスクを着用する必要があるという点において、専門家の意見は一致している。ワクチンを接種した人かどうかはほかの人からはわからず、そのせいで混乱した状況を招くかもしれない。また、ワクチンに対する免疫反応は人によって異なる可能性がある。

「つまり、100人にワクチンを接種したとしても、ワクチンに対する反応のレベルは人によってさまざまです。自分の体を守れるだけの反応が起こらない人もいるかもしれません」と、リーファー氏は言う。自分の体がワクチンに対してどのように反応したかを知るすべはなく、マスクは依然として体を守る手段の一つになる。さらには、ワクチン接種を受けた人はウイルスをどの程度他人に感染させうるのかという、まだ答えのわからない課題も残っている。

「わたしは、ワクチンは大きなばんそうこうのようなものだと考えています。しかし、自分たちの身を守るためのばんそうこうはほかにもあります」と、スワルツバーグ氏は言う。そうしたばんそうこうの一つがマスクであり、だれしもマスクの使用をやめるべきではないと、氏は考えている。

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