不快な音を打ち消す ボーズの快眠イヤホン試してみた
ジャーナリストの津田大介氏が、興味のあるモノやサービスを取り上げる本連載。今回は、BOSE(ボーズ)の睡眠時に装着するワイヤレスイヤホン「Bose Sleepbuds II」を紹介する。睡眠の質を高めるデバイスには以前から興味があったと話す津田氏が実際に試した感想は?
着けているのを忘れる快適な装着感
Bose Sleepbuds IIは、睡眠のサポートに特化したワイヤレスイヤホンだ。就寝時に装着すると、スムーズな入眠を促すことが臨床的に証明されているという。僕は音楽をよく聞くので、過去にこの連載でBOSEのスピーカーを取り上げたこともあるが(津田大介 BOSEの肩のせスピーカーは『日本向き』)、今回も非常にユニークな製品なので試してみた。
最初に驚いたのは装着感だった。小さくて軽く、イヤーチップが柔らかいシリコンになっているため、耳にセットしてもほとんど違和感がない。着けているのを忘れるくらいで、寝返りを打ったり横を向いて寝たりしても、耳が痛くなったり取れてしまったりすることはなかった。装着感は、これまで使ったワイヤレスイヤホンの中で最も快適で、小さな耳栓をしているような感覚に近い。着け心地に相当なこだわりが実感できて、音楽用のワイヤレスイヤホンにも採用してほしいくらいだ。
ノイズマスキングサウンドで周囲の音が気にならない
Bose Sleepbuds IIは、ノイズマスキングサウンドを聴けるのが特徴だ。車の走行音や話し声などが聞こえる周囲の環境に合わせて、周波数を自動調整した音を流すことにより、脳が不快なノイズを認識しないようにしてくれる。試しに、テレビをつけた状態で使ってみると、環境音が流れて音が気にならなくなる。オフィスで使っても、耳に残るのは環境音が中心で、スタッフの話し声や外を走る車の音は、若干聞こえる程度で気にならない。
最初は不思議な感覚になるが、確かにリラックスできて眠りやすくなり、目覚めも悪くない。僕は普段眠れなくて苦労するほうではないため、毎日使うかは分からないが、生活リズムが乱れて寝付きが悪い日や、時間がないけどサッと眠りたいという日には重宝しそうだ。
専用のスマホアプリ「Bose Sleep」では、ノイズマスキングサウンドだけでなく、波や雨音などのヒーリングサウンドを流し、アラームもセットできる。音が完全に聞こえなくなるわけではないので、周囲の呼びかけにも応じられるし、他のスリープトラッキングアプリとの併用も可能だ。
睡眠の質を改善するデバイス 利用シーンは意外と幅広い
睡眠の質は、仕事の生産性にも影響すると言われている。関連デバイスの需要は、今後も広がっていくだろう。利用シーンも意外と幅広そうだ。周辺が静かな家でも、一緒に寝ている家族のいびきなどに悩まされている人には役立つだろう。また、オフィスや移動中の車内など、周りの音がうるさい環境で、少しだけ昼寝をしたいというときにもうれしい。周囲の音が気にならなくなるので、カフェなどで作業に集中したいときに使うのもアリかもしれない。
ただ、3万3000円という価格は若干気になるところ。音楽が聴けるわけではないので、効果を実感できないと用途がなくなってしまう。毎日お酒を飲まないと眠れないような人が、この製品で改善できるなら安い買い物だろう。だが、たまにしか必要なかったりする人にとっては、価格がネックになりそうだ。90日間の返品・返金保証プログラムがあるようなので、気になる人は実際に試した上で判断するとよいだろう。
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。近著に「情報戦争を生き抜く」(朝日新書)
(構成 藤原達矢=アバンギャルド、写真 渡辺 慎一郎)
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