「謝罪点」を理解しないと「自己弁護」に

いちばんいいのは、心底から理解し、心底から共感することですが、公的な立場であれば、少なくとも技術的にそのポーズを見せなければ謝罪の意は伝わらず、会見の意味もありません。

「とにかく謝ればいいのだろう」という姿勢が1ミリでも漏れたとたんに、相手の怒りは倍増します。こちらの事情の理解も、立場への共感もない、と感じた相手は「被害の大きさや深さをわからせたい」という思いを奮い立たせるために、さらにネガティブな感情を燃え立たせ、怒る理由をできる限り多く並べ始めるからです。

会見の場でマスクを外す森喜朗氏(2月4日、東京都中央区)

森氏の会見でも、その部分が配慮されていなかったため「謝るべき理由を本人がわかっていない」という怒りの声が多く起こり、火に油を注いだ結果となってしまいました。

謝罪の目的を達するためには「相手はどのような被害を受けたと思っているか、どのような感情を引き起こしたか」を考えて、「何に対して謝るか」という謝罪点だけは認識しておかなければなりません。議論には論点、裁判には争点があるように、謝罪には謝罪点を理解しておく必要があります。

謝罪点を理解した上で、「そこを真摯に反省している。あなたにかけた迷惑についても身に染みている。それらがわかっているので、次は同じ過ちを犯さないようにできると思う。だから今回は許してほしい」。単純に言えば、謝罪はそういう説明になります。

そこを理解していないと、「謝罪」ではなく「自己弁護」にいつの間にか走ってしまったり、許しを請うべき相手に反発心をあらわにして結果「逆ギレ」と言われ、本末転倒となったりします。実際、森氏の会見は、そういう流れになりました。

パートナーとケンカして謝るときには「何かわからないけど、悪かった」ではなく、例えば「自分がこんなことをしたせいで、イライラさせてしまってごめん」。こんな一言が相手の怒りを鎮める役割をし、また自分でも今後の反省材料にできます。

相手が怒っている原因を理解しないと花束も無駄になってしまうかも(写真はイメージ)=PIXTA

服装は「誠実・恭順・沈痛」がテーマ

さて、次に服装です。森氏が謝罪会見で身につけていたのはダークスーツに白シャツでした。ここまではいいとして、「おや?」と思ったのは、濃い赤と白のストライプのネクタイです。「これほど有名な政治家なのに“プロ”がついてないのだろうか」と不思議に思ったセレクトでした。

最近目にする謝罪会見は、危機管理のプロが仕切っているのだろうなと思わせるものが多く、謝罪をする人間の装いは濃いネイビースーツ、白シャツ、さらに濃いネイビーやダークグレーの無地ネクタイと相場が決まっています。

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