「高校生あるある」バズる 土佐兄弟、動画ネタで飛躍

「高校生あるあるネタ」が10代を中心にTikTokでバズり、テレビの冠番組や、ラジオレギュラーを獲得した土佐兄弟。これまでにない形で人気芸人の仲間入りを果たした彼らに飛躍した昨年の振り返りと2021年の展望を聞いた。

とさきょうだい 左/土佐有輝(とさ・ゆうき)1994年12月15日生まれ。右/土佐卓也(とさ・たくや)87年9月28日生まれ。東京都出身。ワタナベコメディスクール18期生。ユーチューブチャンネルは登録者が44万人、インスタグラムはフォロワーが68万人を超える。ワタナベエンターテインメント所属

有輝 個人的に大きかったのは、自信がついたことです。これまでも、テレビのオーディションはあるたびに受けて、内容に合わせてネタも変えたり、一生懸命やってきたんです。でも「土佐兄弟といえばコレ」というのがなかったから「なんでもこなせます!」みたいなことしか言えなくて。それが今では、「高校生あるある」ネタが武器になりました。

卓也 テレビのいいところは、僕らのキャラクターを掘り下げてもらえるところですね。土佐兄弟を動画やネタで知った人が、テレビをきっかけに、僕ら自身を好きになってくれたりするのはありがたいですね。

有輝 この1年で1番反響が大きかったのは「アメトーーク!」(テレ朝系)ですかね。

卓也 子どものときの兄弟の写真(構図の妙や、7歳の年齢差などが要因で、合成のように卓也が巨大に写っている)を番組に持っていったら、なぜかスタジオ中が大爆笑で。

有輝 「今年1番笑いました」とか、「仕事辞めようか悩んでいたけど、あの写真を見たらどうでもよくなりました」という声まで寄せられて(笑)。

卓也 これまでの芸風でいうとデビュー2年目から4年目の「小栗旬期」、4年目から6年目の「兄弟漫才期」、6年目から現在までの「高校生あるある期」がありまして。デビュー2年目の終わりぐらいに、弟がモノマネしていた小栗旬さんと、『しゃべくり007』(日テレ系)で共演させてもらったこともあったんですが、同じ小栗旬さんのネタをやっていたおばたのお兄さんがブレイクしたという(笑)。その後、兄弟ネタしばりの漫才を毎月3本くらい作っていって、テレビにも呼ばれるようになったんですけど、どこか決定打に欠けていたというか。

有輝 「兄弟漫才期」は1番テレビに出られなかったよね。

卓也 5年目に当たる18年は「お笑いハーベスト大賞」の最終決戦で、ハナコさんと四千頭身さんと争うくらいに手応えがあったのに「M―1」では2回戦で落ちたんですよ。このまま漫才だけやっていてもリスクが高いなと。試行錯誤するなかで、有輝がインスタで高校生の“あるある”動画をアップしたときに「これかも」と手応えを感じて。その日から毎日、動画を載せるようになりました。

有輝 インスタのフォロワーが1万から2万人くらいになった19年の夏に、TikTokを始めたんですけど、最初の動画「一瞬だけ死んだと思う瞬間」がその日のうちに何百万回再生ってなって。

卓也 そのTikTokを教えてくれたのがおばたのお兄さんでした(笑)。

有輝 おばたさんとメシに行ったときに、「有輝君、高校生のあるあるネタなら、10代のユーザーが多いTikTokのほうがいいんじゃない?」って言われて。その日の帰りの電車の中でさっそくインストールして、1個目の動画を上げたんですけど、あまりの反響に驚きました。

卓也 動画は2人だけで作っているんです。TikTokの縦動画用と、ユーチューブの横動画用に、一言一句変えずに有輝が2回ネタをやって、それを僕が撮って、即編集して。

有輝 2人でやってるのは、早くやりたかったからです。誰かに渡して「明日までにお願いします」とかいうのが嫌だったんですよ。

卓也 今、憧れだった人と同じ空間で仕事ができたり、夢に思い描いていたような状況なんですが、「将来どうなりたいか」は、常に忘れてはいけないと意識してます。レギュラー番組の「あるある土佐カンパニー」(テレビ朝日)も「CultureZ」(文化放送)も、もっと面白くしていきたい。もともとは王道の漫才師を目指していたんです。賞レースで優勝して売れるというような。でも登竜門的な番組だったり賞レースは1つもくぐってきてないんですよ。

有輝 めちゃくちゃコンプレックスでしたよ。なんで僕らはダメなんだろうなって、ふてくされてました。でも自分が生み出した「高校生あるある」を認めてもらえて、すごくうれしかったし、劣等感も薄まって。SNSをやっているのは「売れたい」よりも、「やりたい」気持ちが強いからです。

卓也 売れたあと、どう活動するのかが大事なのかなって。僕らとしては、「主戦場」という考え方はないんです。テレビやSNSでは、見てる人が違いますし。それぞれの場所で、できることを頑張って、あとは見る人が選んでくれればと思っています。

(「日経エンタテインメント!」2月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)

[日経MJ2021年2月19日付]

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