――社長就任時はどのように思いましたか。

「まさに四面楚歌(そか)でした。当時の学研は赤字だったので、社長になりたいという人はまずいません。火中の栗を拾う心境で覚悟を決めました。前任の社長だった遠藤洋一郎さんからは『逃げない男、そして玉砕しない男』と言葉をかけてもらって、私の性格を見破っているなと感じたのです。遠藤社長に呼び出された時は、次期社長の依頼だろうと予測しましたし、実際に言い渡された時はすぐに『やります』と返事をしました」

「私以外にもう一人、社長就任の噂がある人がいました。まず、その人に打診して断られたので私に話がきたのだろうと思っていました。でも、遠藤さんが亡くなられたときに、奥様から『最初から宮原さんで決めていましたよ』と言われて驚いたと同時に、とてもうれしかったです」

新しい部門作るのが成長のカギ

――社長に就任して何に力を入れてきましたか。

「力を入れてきたのは世のため、人のためになる事業を伸ばそうということです。介護や保育は特にそうですね。就任当時は内部改革のため、M&Aなどはすべてストップさせました。まずは赤字部門の改革が最優先です。当時は厳しい状況でしたが、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を毎年15棟ほど造り続けてきました。その基盤があって、ここまで来ることができました」

「赤字からV字回復する企業は多いですが、11年連続で回復を続ける企業はなかなかないでしょう。一般的には社長就任4年目に失速する例が多いのですが、それは内部改革だけだからだと思います。回復はしても、その先の壁を越えられません。新たに1つの部門を作れたことが成長を続ける一番の要因になったと思います」

全寮制の防衛大学で学んだ経験が人との接し方で大きな財産になった

「既存事業の中から新規事業を作り出すことで、どうしてもじり貧になってしまう全体の売り上げを底上げすることができます。それに社員を成長部門に異動させることが可能になります。でも、既存の部署から人を回して新しい事業に対処するのは、実はとても難しいことなのです。そこでM&Aで売り上げを純増できる構図も作りました。だからM&Aをものすごく大事にしています」

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