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住生社長「創造性を生み出すため、働き方を変えたい」

橋本雅博住友生命社長(下)

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NIKKEI STYLE

住友生命は2018年から働き方改革「WPI(ワーク・パフォーマンス・イノベーション)プロジェクト」に取り組んでいる。前回の記事「働き方で考課の逆転も 住生『時間当たり生産性評価』」では、なぜ人事制度を変え、生産性を評価する仕組みを導入したのかを聞いた。多様な人材を育てるためには働き方を変えなければならないという。引き続き、橋本雅博社長に聞いた。

本社の社員で生産性向上コンテスト

白河桃子さん(以下敬称略) 前回に引き続き、時間あたり生産性を入れた評価について伺います。管理職の評価法も変えたのでしょうか?

橋本雅博社長(以下敬称略) 2つの観点で見ています。一つは、残業時間の削減や休暇取得率といった定量的な面。もう一つは、数値には出にくい姿勢の面です。業務削減や生産性の向上、新たなITの積極的活用について、常にアンテナを張り、所管業務について工夫するよう所属長には伝えています。

意識醸成も兼ねて、社内からエントリーして本社所属の全職員が投票する企画として「生産性向上コンテスト」というものを2019年度に実施しました。例えば、事務業務のワークフローを簡略化して全社の業務効率を高めた一般管理部門のチームや、エクセルのマクロ作成技術を磨いてアプリを作成した資産運用部門のチームがこれまで表彰されています。26チームの応募があり、期待以上の盛り上がりを見せてくれました。

白河 全社を挙げて業務効率アップ、生産性向上に取り組む勢いが増しているということですね。他にも「社内電話の抑制、まずはチャットで」「予定の見える化と共有」など。こういった施策は、コロナ禍における業務推進にもプラスに働いたのではないでしょうか。

橋本 当社の場合、対面の営業業務がメインでしたので、お客さま対応が必要な営業現場や事務部門ではテレワークへの移行で苦労した面が多いのですが、コロナ禍において働く環境を変える必要があることを全員が認識できたことの意義は大きかったと思います。誰もが我がこととして同じ経験をしているのでわざわざ事例を引っ張り出して説得する必要がなく、改革を進めやすくなったのは追い風とも言えるでしょう。

白河 そこから先にはどんな取り組みを考えているのでしょうか。やはり、多様な人材の活用ですか。

橋本 おっしゃるとおりです。私は常々、「立派な会社人ではなく、立派な社会人にならなきゃダメだよ」と伝えています。社会と接点を持って多様な人と関わりながら多様な経験を積み、生きがいをもっていきいきと働く人には、人としての魅力が宿るものです。話題が豊富になり、コミュニケーション力も磨かれ、営業力にも直結していく。単に「住友生命です。保険に入ってください」ではお客さまの心は動かせません。人間的魅力を磨く時間をつくるためにも、働き方改革は必要なんです。改革を始めた当初、「若手が早く家に帰って、テレビばっかり見ているらしいけれど、そんなことでいいのか」という声もあったのですが、私は「テレビを見たら、(塾講師でタレントの)林修先生がいろんな教養を教えてくれるじゃないか。会社に夜中までいたって教われないだろう」と返したんですよ(笑)。人間の幅を広げるきっかけは、人によって違うものですし、何をするかは本人の自由ですよ。自分が過ごしたい時間の中でそれぞれが人間力を磨ける会社になれば、やがて社会に必要とされるような会社になっていく。私はそう信じているんです。

チャラ男を生み出す会社にしたい

白河 素晴らしいですね。無駄をなくし、多様な人材を育てて、新しい価値を生む仕事が生まれる動きを加速していこう、と。実際に斬新な新商品も生まれているそうですね。

橋本 象徴的なのは、18年にリリースした「Vitality(バイタリティ)」という保険商品です。加入後の健康診断の結果や、継続的な運動習慣など健康増進活動を評価して保険料が変動するという、お客さまの「健康増進」を応援し、リスクを「減らす」サポートをする商品です。これはある職員が南アフリカに面白い保険商品があることを見つけてきて、私に直接プレゼンしてきたことから始まったんです。最初は眉唾物に感じたのですが、あまりに熱心だったので現地に調査に行かせました。帰ってきた本人に話を聞くとなかなか面白くて可能性を感じ、開発へと動き出したという経緯です。この商品は、住友生命が自社だけで商品開発したのではなく、10社以上の企業と協業したという点でも画期的でした。

発案者の彼は社外のネットワークが広く、いろんな情報をキャッチし、斬新な企画に結びつけた。さらに、これを実現するための予算や人員確保には、他のベテラン職員が活躍してくれました。早稲田大学大学院ビジネススクールの入山章栄教授が「イノベーションを起こすために、『チャラ男』と『根回しオヤジ』のタッグが最強だ」とおっしゃっているのですが、まさに近い事例だと思います。チャラ男というと彼に怒られるかもしれませんが、要は多様な人脈と行動力を生かして「創造性」を担う人材であるという意味です。

白河 チャラ男と根回しオヤジのタッグ。面白いですね。

橋本 根回しオヤジというのは、企画を実現する橋渡し役となる存在です。この根回しオヤジは、サラリーマンの世界では自然に量産されやすいのですが、チャラ男のほうは自然発生しないんです。意識的に社外活動に充てられる時間をつくる環境を整えて、一定の確率で発生するのを待つしかない。だから、働き方改革が重要なんです。もちろん、みんながチャラ男になったら困るんだけど(笑)、一人でも生み出すためには個人が創造性を刺激する時間が必要だということです。

白河 ユニークなアイデアを取り逃がさないためには、何をすべきなのでしょうか。これまではおそらく、「そんなとっぴな企画は採用されないよ」と潰されてしまっていたケースが多いのでは。

橋本 ご指摘のとおりです。今、当社で一生懸命やろうとしているのは、創造的なアイデアを企画として育てるための恒常的なシステムの構築です。新規ビジネスを扱う部門を新設し、役員が意識改革できる機会も増やしました。毎月のようにスタートアップの経営者や旬のキーパーソンをお招きして勉強会を開催しているんです。この取材の前もそうだったのですが、今日は人工知能(AI)のレクチャーを(オンライン会議システムの)Zoomで開催し、課長クラス以上の役職者全員で聴きました。

白河 変化の時代に対応できる会社へと変えていこうとされているのですね。

橋本 特定の能力を身につけるというより、変化に機敏に対応できる力が重要になりますよね。外の世界にある面白いものを受け入れてコラボレーションできる器の広さのようなもの。「これしかダメだ」と自分の考えに固執するようでは、これからの時代は難しい。会社も自社単独の力だけでできることは、極めて限られてくると予測しています。働き方を変えなければ、イノベーションを生む人材は生まれません。朝から晩まで住友生命のことしか考えない働き方からは絶対に出てこないと思います。結果として、働き方を変えた人はパフォーマンスも上がるはずですから、放っておいても評価されるようになるでしょう。

女性には管理職になることを働きかけている

白河 最後に、御社の女性活躍についてお聞かせください。昔から女性の役職者が多いのはなぜなのでしょうか。

橋本 それは伝統なんです。生命保険の営業は、戦前は請負の代理店形式から始まって徐々に雇用型へと切り替わった歴史があります。その流れの中で当社は積極的に営業職員として女性を雇用してきた歴史があり、営業現場での女性管理職も早くから育成した結果、現在は640人となっています。ただ、皆さんが新卒で入社するとは限らず、年齢もさまざまなので、常に育成し続けないと減ってしまう。そのため、女性管理職を育てることが上位職の評価項目の一つになっています。

白河 会社として積極的に女性管理職を増やす仕組みをつくっているということですね。

橋本 はい、明確に意図して増やしています。営業職としてのスタープレーヤーを目指す女性も多いのですが、「管理職を目指すのはいかがですか?」と働きかけをするようにしています。

白河 「女性管理職を増やしたいが、なかなか手が挙がらない」という悩みは各社からよく聞かれますが、御社では当たり前のように管理職への道を薦められる環境があることが分かりました。

橋本 正直に申し上げると、営業職以外の事務部門などの女性管理職の育成については他社と同様の悩みを持っています。ただし、無理やり指名して増やしても長続きしません。母集団をしっかりと形成していくことが重要だと考えています。男性も含めて競争してもらって、競争に勝ち抜いた人が上がっていく流れをつくらないと、本当の意味でのリーダーは生まれませんよね。時間がかかってもいいから管理職候補の母集団をつくろうという方針を決めています。最近ようやく母集団が育ってきて、事務部門などでマネジャーになる女性が増えてきました。「あの人だからできる」と思わせるロールモデルではなく、皆が目指せる女性管理職を育てていく。これから少しずつ事例も増えていくと思いますのでご期待ください。

白河 コツコツと時間をかけて、本当に意味のある女性リーダー育成をしていく取り組みの成果が楽しみです。ありがとうございました。

あとがき:講演を聞き、「時間あたり生産性の評価」をここまでしっかりやっている会社は他にないと対談を申し込みました。働き方が変わっても、評価が変わらなければ誰もやる気にならない。持続しないのです。しかしどんな評価にすればいいのか? 悩んでいたときに聞いたのが橋本社長の講演でした。評価は非常に大事で、やはりサラリーマンの行動を変える一番の要因です。テレワークの時代になって、距離が離れることでますます「評価」のあり方が問われるようになりました。テレワークで労働時間が長くなるチームと逆のチームの二極化も起きています。ぜひ参考にしてほしいと思っています。

白河桃子
昭和女子大学客員教授、相模女子大学大学院特任教授。東京生まれ、慶応義塾大学文学部卒業。商社、証券会社勤務などを経て2000年ごろから執筆生活に入る。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員、内閣府男女局「男女共同参画会議専門調査会」専門委員などを務める。著書に「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)、「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)など。

(文:宮本恵理子、写真:吉村永)

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