女性管理職の育成については他社と同様の悩みを持っているという

女性には管理職になることを働きかけている

白河 最後に、御社の女性活躍についてお聞かせください。昔から女性の役職者が多いのはなぜなのでしょうか。

橋本 それは伝統なんです。生命保険の営業は、戦前は請負の代理店形式から始まって徐々に雇用型へと切り替わった歴史があります。その流れの中で当社は積極的に営業職員として女性を雇用してきた歴史があり、営業現場での女性管理職も早くから育成した結果、現在は640人となっています。ただ、皆さんが新卒で入社するとは限らず、年齢もさまざまなので、常に育成し続けないと減ってしまう。そのため、女性管理職を育てることが上位職の評価項目の一つになっています。

白河 会社として積極的に女性管理職を増やす仕組みをつくっているということですね。

橋本 はい、明確に意図して増やしています。営業職としてのスタープレーヤーを目指す女性も多いのですが、「管理職を目指すのはいかがですか?」と働きかけをするようにしています。

白河 「女性管理職を増やしたいが、なかなか手が挙がらない」という悩みは各社からよく聞かれますが、御社では当たり前のように管理職への道を薦められる環境があることが分かりました。

橋本 正直に申し上げると、営業職以外の事務部門などの女性管理職の育成については他社と同様の悩みを持っています。ただし、無理やり指名して増やしても長続きしません。母集団をしっかりと形成していくことが重要だと考えています。男性も含めて競争してもらって、競争に勝ち抜いた人が上がっていく流れをつくらないと、本当の意味でのリーダーは生まれませんよね。時間がかかってもいいから管理職候補の母集団をつくろうという方針を決めています。最近ようやく母集団が育ってきて、事務部門などでマネジャーになる女性が増えてきました。「あの人だからできる」と思わせるロールモデルではなく、皆が目指せる女性管理職を育てていく。これから少しずつ事例も増えていくと思いますのでご期待ください。

白河 コツコツと時間をかけて、本当に意味のある女性リーダー育成をしていく取り組みの成果が楽しみです。ありがとうございました。

あとがき:講演を聞き、「時間あたり生産性の評価」をここまでしっかりやっている会社は他にないと対談を申し込みました。働き方が変わっても、評価が変わらなければ誰もやる気にならない。持続しないのです。しかしどんな評価にすればいいのか? 悩んでいたときに聞いたのが橋本社長の講演でした。評価は非常に大事で、やはりサラリーマンの行動を変える一番の要因です。テレワークの時代になって、距離が離れることでますます「評価」のあり方が問われるようになりました。テレワークで労働時間が長くなるチームと逆のチームの二極化も起きています。ぜひ参考にしてほしいと思っています。

白河桃子
昭和女子大学客員教授、相模女子大学大学院特任教授。東京生まれ、慶応義塾大学文学部卒業。商社、証券会社勤務などを経て2000年ごろから執筆生活に入る。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員、内閣府男女局「男女共同参画会議専門調査会」専門委員などを務める。著書に「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)、「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)など。

(文:宮本恵理子、写真:吉村永)

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