2021/3/21
「M5」の外装色は、今回の試乗車がまとっていたオプションの「スナッパーロックブルー」を含め、全19種類から選択できる

快適性に課題あり

もはや「行きつくところまで行ってしまった」という思いを拭い切れない、すさまじいまでのパフォーマンス。それが最新M5の大きな魅力のひとつになっていることは間違いない。

しかし、そんな浮世離れした過激な加速性能が、もはやドイツ・アウトバーンですら持て余すと思える水準に達してしまっていることもまた事実。だからこそ、こうした怒涛(どとう)のパフォーマンスの多くを“リザーブパワー”へと回して、今回実施されたような最先端のADASやコネクティビティー機能をきわめるというリファインによって、あらためて新時代のパワーエリート像を模索するという道を歩むことは、パワーユニット性能の“天井”へと到達したこの種のモデルが生き残っていくための、ひとつの理にかなった方向性だろう。

試乗車には「リアエンターテインメントシステム」に加え、「Bowers & Wilkinsダイヤモンドサラウンドサウンドシステム」がオプション装備されていた
今回の試乗では高速道路と山岳路をメインに約500kmを走行。燃費は満タン法で8.1km/リッターを記録した

一方で、そうした観点からするとこのモデルに対して少々物足りなくも思えたのは、路面上のわだちなど外乱を拾った際のタフネスぶりが期待ほど高くはなく、直進性に圧倒的という印象を得られなかったことである。さらに、せっかくのセダンでありながら後席での快適性が前席に対して明確に見劣りし、特に排気のこもり音や荒れた路面でのロードノイズの高まりが、長時間は耐え難いレベルに達していたことも付け加えなければならないだろう。

率直なところ、こうしたハイパフォーマンスなパワーユニットを4WDシャシーと組み合わせるという点においては、BMWではまだつくり慣れていないという部分もあるのかもしれない。

実は最新のM5にはさらにパワーを上乗せした心臓を、カーボンフロントフードの採用などでより軽量化したボディーに組み合わせた「CS」の名を冠したハードコアモデルも設定されている。しかし、これまで歴代M5がエモーショナルな走りでドライバーを魅了してきたのに対して、“速さ一辺倒”になってしまったように感じられ、ちょっと惜しいと思うのは自分だけであろうか。

(ライター 河村康彦)

■テスト車のデータ
BMW M5コンペティション
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4990×1905×1475mm
ホイールベース:1980mm
車重:1940kg
駆動方式:4WD
エンジン:4.4リッターV8 DOHC 48バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:625PS(460kW)/6000rpm
最大トルク:750N・m(76.5kgf・m)/1800-5860rpm
タイヤ:(前)285/35ZR20 104Y/(後)275/30ZR20 102Y(ピレリPゼロ)
価格:1877万円/テスト車=2142万5500円
オプション装備:メタリックペイント<スナッパ―ロックブルー>(10万円)/フルレザーメリノインテリア<アラゴンブラウン/ブラック>(76万7000円)/Mカーボンエンジンカバー(16万4000円)/Mカーボンセラミックブレーキシステム(12万円)/フロントマッサージシート(15万1000円)/ダークカーボンアルミインテリアトリム(7万9000円)/リアエンターテインメントシステム(37万1000円)/Bowers & Wilkinsダイヤモンドサラウンドサウンドシステム(56万8000円)/Mドライバーズパッケージ(33万5000円)

[webCG 2021年2月17日の記事を再構成]

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