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トークは準備し過ぎないほうが面白くなる(井上芳雄)

第87回

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NIKKEI STYLE

井上芳雄です。今年に入ってMCや司会の仕事が増えました。1月26日にはミュージカル&舞台の情報番組『プリンスロード』(CSテレ朝チャンネル)のスペシャルライブ生中継で、ジャングルポケットの斉藤慎二さんの代役として司会を、2月2日に放送されたバラエティー番組『幸せ!ボンビーガール』(日本テレビ)ではスペシャルMCを務めました。4月からは『はやウタ』(NHK)で地上波初の歌番組レギュラー司会が始まります。トークはどう転んでいくか分からないことの連続。アドリブの面白さを毎回感じています。

1月26日の『プリンスロードVol.7 ~生歌スペシャルライブ~』は同番組初のライブイベント。会場のめぐろパーシモンホールに無観客で、18時から3時間の生中継をしました。司会の予定だった斉藤さんが新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出て、自宅待機となったため、本番2日前に連絡をいただき、急きょ代役として出ることになりました。斉藤さんとは、僕のコンサートにゲストで出ていただくなど親しいつきあいです。症状はなく元気だったそうで、本人も驚いていました。つらかったでしょうけど、電話で「僕が代わりにできることは精いっぱいやります。ギャグもいっぱい使わせてもらいますね」と話して、「ありがとう」と喜んでくれていたので、役に立ててよかったという思いです。コロナ禍ではお互い何が起こるか分からないし、助け合ったり、支え合うしかないなとあらためて思いました。

『プリンスロード』には僕もゲストで出たことがあるし、今回ライブに出たミュージカル俳優の新納慎也さん、浦井健治君、伊礼彼方君、佐藤隆紀(LE VELVETS)君は、みんなよく知っているので、司会もやりやすかったです。最後にみんなで歌う『レ・ミゼラブル』の一節だけ、もともと斉藤さんが歌う予定だったので僕も歌ったのですが、それ以外はトークに専念。女優の小南満佑子さんも司会でいらっしゃったので、僕は多少の脱線もありながら(笑)、盛り上げ役に徹しました。

出演者自身が選んだミュージカルソングを中心に、ソロありコラボありと選曲も工夫されていて、それぞれのミニコンサートみたいで聴き応えがありました。歌い上げる曲が多いので、司会として客観的に見ていて、ミュージカル俳優ってすごいなと感心しました。

トークは三者三様で面白かったです。先輩の新納さんは、僕が初めて舞台に出たころから知っているのですが、最近トークで絡むことがなかったので、懐かしさとうれしさが半々でした。ほかの3人は後輩です。浦井君はいつもいいボケをしてくれるので、僕はどんどんツッコんでいく役割。伊礼君はキャラクターがまた違って、貫禄があるというか、どっしりしていて、「何言っているんですか、芳雄さん」とちゃんとツッコんでくれる。なので、僕はボケる側に。自分はツッコミが得意だと思っていたけど、頑張ればボケもできるようになったかも、というのは発見でした。司会のときは、どっちもできた方がいいですから。佐藤君は、普段みんなからシュガーと呼ばれているので、下の名前がとっさに出てこなくて、司会者としてはまずかったのですが、それをネタにさせてもらって、次から下の名前で呼び続けました。その瞬間に生まれたネタを使うのも、楽しかったですね。

スタッフの方も工夫してくださって、「芳雄の部屋」というコーナーを急きょつくってくれました。視聴者からの質問に、ゲストの人たちが答えるという企画です。「毎回決まってする習慣(ルーティン)はありますか」という質問がいくつかありました。僕も普段よく聞かれます。きっと舞台は1カ月とか2カ月同じことを続けるから、何か決まり事があって、それに支えられてやっているに違いないと、思われるのでしょう。でも意外と、細かな決まり事にこだわる人って、ミュージカル界では少ないように思います。新納さんも「とくにないですよ」と答えてました。皆さんが思っているほど、僕たちは規則正しく動く人種ではないようです(笑)。

ちなみに僕が司会をやるときのルーティンは、質問をいくつか余分に考えておくこと。たいてい台本があって、流れや聞くことは決まっているのですが、プラスして自分が聞きたいことを2つ、3つ書いておきます。時間より早く終わって、まだ聞けるとなったときに慌てないように。だいたいは逆にしゃべりすぎて、そのネタを使うことはないのですが、用意しておいたほうが安心なので。『徹子の部屋』(テレビ朝日)に出演したとき、黒柳徹子さんが自分の質問を台本に書かれているのを見て、僕もそうするようにしています。

一方で、トークは準備し過ぎないことも大事だと思うので、そのバランスですね。最低限の情報や知識は必要ですが、あらかじめ全部決めてしまうと、誰がしゃべってもよくなります。歌やお芝居はしっかり稽古してから人前に出すものだから、準備がすごく大事ですが、司会は逆にあまり準備しないほうが、その場で生まれたものをキャッチできて、その人らしさが出るように思います。トークはどう転んでいくか分からないことの連続で、そこが司会をしていて面白いところ。もちろん、集中力はすごく必要です。相手が言ったことをちゃんと聞いて、的確にリアクションをして初めて、話が思わぬ方向に転がっていきます。阿川佐和子さんのトーク術がまさにそう。『サワコの朝』(MBS/TBS)に出たとき、その場の流れでトークを進められていたのがすごくすてきでした。僕もそうありたいですね。

 お手本となる司会ということでは、歌番組では『うたコン』(NHK)の谷原章介さんはすごいと思います。リハーサルをしっかりして、トークも全部決まっているのですが、生放送なので時間が足らなかったり余ったりもあります。そのときの調整が見事です。アドリブのはさみ方もうまくて、本番でリハーサルとはちょっと違った聞き方や振り方をしてくれたりするのも、僕はうれしく感じました。声もいいし、すごく安心感がある司会です。歌手って、歌う前はすごく緊張します。歌う前にしゃべらないといけないときもあるし、実はいろんな緊張や不安を抱えているので、安心感を与えてくれるのはとても大事なこと。僕も歌い手の気持ちがよく分かるので、自分が司会の立場になるときは、経験を生かせればいいなと思っています。

「ミュージカル風に」が得意なわけではないけれど

『プリンスロードVol.7 ~生歌スペシャルライブ~』の司会はミュージカルのジャンルなので、僕にはホームだったとしたら、2月2日に放送があった『幸せ!ボンビーガール』は完全にアウェーでした。地上波のバラエティー番組で、僕を知らない人がたくさん見ていたと思います。その放送回だけのスペシャルMCで、VTRを紹介する振りをミュージカル風に、と台本にあって、番組中でそれが4回ほどありました。具体的にどうするという指示は何もないので、そのつど自分でセリフを考えて、歌いながら紹介しました。ラランドが登場するVTRの振りを、ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』の歌と踊りでやったのも自分のアイデアです。

番組中でも言ったのですが、昔はそういうのが本当に嫌で、打ち合わせの段階で断ったり、どうしてもやらないといけないときは、前の晩から寝ずに考えたりしました。それが今は、その場のノリでできるようになりました。滑ったとしても、僕は芸人さんじゃないし、周りの方がプロなのだから、いかようにも面白くしてくれるだろうと。

実は、2つの番組の収録は同じ日。昼が『幸せ!ボンビーガール』の収録で、夜が『プリンスロードVol.7 ~生歌スペシャルライブ~』の生中継でした。ホームとアフェーのダブルヘッダーでしたが、自分にはどちらも必要だと思っています。ホームの方がやりやすいけど、ホームだけでうまくやれるというのも違うだろう。僕のことをよく知らない人に対して、どう見せるかというのはすごく緊張するし、「ミュージカル風に」が得意なわけでもないけど、やらなければ何も変わらない。それでミュージカルに興味を持ってくれる人が少しでも増えるなら、アウェーも頑張りたいですね。

それぞれ反響も違っていました。地上波のプライムタイムで放送された『幸せ!ボンビーガール』は誰でも見られるから、「偶然見て驚きました」という人が多かったし、CSの『プリンスロードVol.7 ~生歌スペシャルライブ~』はこの番組目当てのミュージカルファンの方がたくさん見てくださいました。どこに向けた放送かによって見ている方は違うし、反響でもそれが伝わってきました。

コンサートツアーは各公演それぞれ違うゲスト

4月4日からは新番組『はやウタ』(NHK)での司会が始まる予定です。ほぼ隔週日曜の早朝に放送される音楽番組で、演歌・歌謡曲からミュージカルまで多彩なジャンルの歌をお届けします。僕は演歌・歌謡曲に詳しいわけではないのですが、逆に視聴者の方と同じ目線で、出てくださる歌手の方にお話を聞く立場なのかなと思っています。地上波で初めての歌番組レギュラー司会なので、とても楽しみです。

そして4月からは僕自身のコンサート『井上芳雄 by MYSELF スペシャルライブ』が始まります。僕は誰かと一緒に歌ったり、しゃべったりするのが好きなので、毎回違うゲストの方に来ていただいて一緒にコラボレーションするのが大きな見どころです。ゲストはミュージカル界の方が多いのですが、大阪公演では声優の梶裕貴君が来てくれます。全国ツアーでは毎回ゲストは1人。東京公演は国際フォーラムホールAと会場が大きいので、ゲストは2人か3人で、ゲスト同士のコラボレーションもあると思います。

ラジオ番組から派生したコンサートなので、ラジオのブースでお話を聞くという設定はコンサートバージョンになっても大事にしたいところ。前回までは、舞台にラジオブースを模したセットをつくって話をしました。人は座って話した方がリラックスすると思うので、今回も普段のラジオトークに近くなる形を考えています。

トークが膨らむだけ膨らんで、いつも3時間を軽く超えてしまっていた僕のコンサート。コロナ禍なので、今回はそういう感じにはできないかもしれませんが、中身は変わらず楽しくて、ぎゅっと濃縮したトークにしたいと思っています。

『夢をかける』 井上芳雄・著
 ミュージカルを中心に様々な舞台で活躍する一方、歌手やドラマなど多岐にわたるジャンルで活動する井上芳雄のデビュー20周年記念出版。NIKKEI STYLEエンタメ!チャンネルで月2回連載中の「井上芳雄 エンタメ通信」を初めて単行本化。2017年7月から2020年11月まで約3年半のコラムを「ショー・マスト・ゴー・オン」「ミュージカル」「ストレートプレイ」「歌手」「新ジャンル」「レジェンド」というテーマ別に再構成して、書き下ろしを加えました。特に2020年は、コロナ禍で演劇界は大きな打撃を受けました。その逆境のなかでデビュー20周年イヤーを迎えた井上が、何を思い、どんな日々を送り、未来に何を残そうとしているのか。明日への希望や勇気が詰まった1冊です。
(日経BP/2700円・税別)
井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)、『夢をかける』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第88回は3月6日(土)の予定です。

夢をかける

著者 : 井上芳雄
出版 : 日経BP
価格 : 2,970 円(税込み)

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