不動産投資は甘くない 空室リスクや管理コストに注意

2021/2/23

マネー

写真はイメージ=PIXTA
写真はイメージ=PIXTA

老後のため、あるいは今の生活を豊かにするために不動産に投資をする、というのは一つのやり方です。投資用マンションなどを購入してそこから毎月賃貸料を得ることができれば、自分年金づくりができるし、場合によっては早期リタイアも可能かもしれません。老後も年金にプラスアルファの収入があれば、ゆとりある生活ができるでしょう。

でも、賃貸経営を成功させるのは簡単ではありません。“不労所得”を夢見て安易に不動産投資を始めるのは絶対にNGです。

不動産賃貸で知っておくべき3つのポイント

不動産を購入してそれを人に貸せば、毎月決まった賃貸料が入ってきます。投資用マンションならサラリーマンでも手が届き、何もしなくても“不労所得”が得られるとあれば、やってみようと思う人もいるでしょう。

たしかに不動産の賃貸は、まとまった額の比較的安定した収入が見込めます。不動産価格は変動しますが、値動きは株に比べれば小さいといえます。何より、働かずに収入が得られるのは大きな魅力です。

とはいえ、賃貸経営はそんなに甘くはありません。次の3つのポイントはしっかり認識しておく必要があります。

1)賃貸料と手取り収入は違う

賃貸経営は収入ばかりに目が向きがちですが、収入を得るためにはさまざまな費用がかかります。例えば、火災保険料、固定資産税、マンションであれば管理費・修繕積立金など。不動産を購入する際にローンを借り入れた場合は、その返済も必要です。設備や内装は定期的なメンテナンスをしなければなりません。

得られた賃貸料からそうした費用を差し引いたものが、実際に手に入る収入です。手取り収入は賃貸料より少なくなるということは知っておかなければなりません。

2)空室が生じたら収入がなくなる

賃貸経営は借り手がいるから賃貸料が得られるわけです。借り手がいない、つまり空室になると賃料収入はゼロとなります。費用は借り手のあるなしにかかわらずかかりますから、空室が生じたら赤字になってしまいます。

特にローンを借り入れて不動産を購入した場合に空室が出ると、ローンの返済が滞ります。それを他の収入や資産で補えなかった場合は破産ということにもなりかねません。

賃貸経営は「空室」リスクと隣り合わせなのです。

3)建物は劣化して価値が下がる

不動産のうち建物は、時間がたつとともに劣化して資産価値が下がります。建物が古くなると借り手がつきにくくなり、賃貸料を引き下げる必要が出てきます。一方で、建物の劣化が進むとメンテナンスの費用がかさみます。それによって、手取り収入は減っていくことになります。

価値の下がった不動産を売却しようとしても、買った時より安い金額でしか売れません。買い手が現れなければ価値のない建物を所有し続けることになり、不動産ならぬ“負動産”を背負い込むことなるかもしれません。

サブリースもリスクになる

不動産を購入して賃貸し“大家さん”になると、借り手の募集、賃貸料の集金、建物の管理などをしなければなりません。サラリーマン大家さんだとそれに手間ひまかけられないので、サブリースという形で不動産会社に委託するのが一般的です。

その場合、賃料の5%程度の手数料を不動産会社に払うことになり、そのぶん大家さんの手取り収入は減ってしまいます。

サブリース会社は、仮に空室が生じたとしても「〇年間は家賃保証します」と宣伝していることが多く、それによって「空室」という賃貸経営最大のリスクが避けられるように思うかもしれませんが、実際には賃料の引き下げを要求されることがあり、「話が違う」とトラブルになる事例が後を絶ちません。

サブリース会社を使わずに、不動産の管理をすべて自分ですればこうしたトラブルは避けられます。それがムリなら、契約書を十分に読み込み、譲れない点についてはサブリース会社と交渉して、納得のいく契約を結ぶ必要があるでしょう。

不労所得ではなく“副業”

不動産は金融商品と違って、一つとして同じものがありません。ですから、物件選びが非常に重要になります。立地や環境、周辺の家賃相場などは、不動産業者任せでなく、自分の目で見極めることが大切です。

また、不動産は買って終わりではない点も、金融商品と異なる点。前述のように、借り手探しや賃貸料の集金、物件の管理が必要で、それを業者に任せるとしても、業者がきちんと業務を行っているかをチェックすることが不可欠です。

賃借人との契約、サブリース会社との契約などでは不動産に関する法律の知識が求められ、受け取った賃貸料に対する税金の申告も必要になります。

“大家さん”は賃貸経営のプロでなければならず、サラリーマンが片手間にできるようなものではないのです。

逆にいうと、不動産を見るのが好きで物件選びが苦にならず、物件の管理がきちんとでき、不動産に関する法律や税務の知識がある人なら、賃貸経営に適しているといえるでしょう。

不動産を買っただけで“不労所得”を得ようと思ってもそれはムリ。賃貸経営はビジネスであり、サラリーマンなら副業として腰を据えて取り組むべきもの。自分にそれができるのかどうかよく考えてみてください。「楽してもうけよう」と安易な考えで始めると取り返しのつかないことになりかねません。

馬養 雅子(まがい・まさこ)
オフィス・カノン代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級ファイナンシャルプランニング技能士。千葉大卒。法律雑誌編集部勤務、フリー編集者を経て、ファイナンシャルプランナーとして記事執筆、講演などを手掛けてきた。著書に「だれでもカンタンにできる資産運用のはじめ方」(ナツメ社)など。http://www.m-magai.net
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