留学足止め、残る選択肢は? オンラインや個人手配コロナ下の留学(2)

立命館大学のオンライン留学プログラム=同大提供
立命館大学のオンライン留学プログラム=同大提供

ついこの間まで、英語能力テストなどで必要なスコアを取り、お金の準備さえできれば行けた留学が、コロナ禍によって、意思や努力だけではどうにもならないものに一変した。留学を大学生活の一大イベントと考えていた学生にとって、そのショックは計り知れない。「就活や卒業時期のことを考えたら、もう無理」「行けるかどうかもわからないのに頑張れない」と嘆く声も聞こえてくる。留学したい学生にとっては、この状況でどんな選択肢が残されているのだろうか。

「留学必須だからという理由でこの学部を志望したんです。それでもし行けなくなったら……。うーん、『日本でしかできないこともきっとある』って無理やりポジティブに考えるしかないですね」

そう表情を曇らせるのは、法政大学国際文化学部1年の吾妻凌さん。同学部は全員が2年生の秋学期に、世界10カ国・15大学のいずれかに留学する。休学せずに4年で卒業できるカリキュラムに引かれて入学する学生も多い。ところが吾妻さんら1年生は入学早々、コロナ禍で1学年上の先輩たちの渡航が中止となったと知り、ショックを受けた。

大学によれば、今秋に吾妻さんたちの代の渡航が可能になった場合、去年行けなかった2年生も希望すれば留学は可能だ。ただコロナ収束が見通せない中、吾妻さんは「少なくとも留学先の感染者数がどのレベルだったら渡航可能になるのかなど、納得できる基準を示してほしい」と話す。

「学位取得型」以外はゴーサイン出しにくく

いま、多くの留学希望者が足止めされている、そもそもの理由は、外務省の「危険情報」で全ての国・地域が、不要不急の渡航中止を促す「レベル2」とされていることにある。さらに文部科学省も「原則として、レベル2以上の国・地域への留学については日本学生支援機構の海外留学支援制度などの対象外」としてきた。

ただし、文科省は、昨年11月から「学位取得型」で本人が希望した場合は、レベル2以上であっても、個別状況を確認した上で奨学金の支援対象とするよう改めている。「学位取得型」には、高校卒業後に直接海外の大学に入学して「学士号」の取得を目指すケースや、在籍している大学院と留学先の大学院で同時に修士号を取得する「ダブルディグリープログラム」などが含まれる。

だが、留学で多いのは「学位取得型」よりも「単位取得型」。在籍大学の協定校に1年程度派遣される、いわゆる「交換留学」や、大学が承認する先で学ぶ認定留学などがそうだ。他に単位取得を目的としない語学研修やボランティアなど体験重視型のプログラムも多い。

文科省はこれらの「学位取得型」以外の留学については、レベル2以上の国・地域への奨学金給付を見合わせており、日本人学生には、渡航の是非の慎重な検討と、渡航する場合は感染予防に万全を期すことを呼び掛けている。今後の対応については、文科省と大学間で意見交換を重ねている状況だ。

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