食の自由 指南、人生の調味料

ジャンクフードや高級料理、辺境のグルメなど本に登場する食の範囲は広い。自分が食べたいものを食べるのもいい、知らない店や未知の食べ物に挑戦してみるのもいい。食のエッセーは食の自由さを教えてくれる。

作家による名著は多くある。内田百●(けん、もんがまえに月)の「御馳走帖」や獅子文六の「食味歳時記」などは長く読み継がれ古典に近い。

近年は書き手や切り口の幅が広がっている。タレントやテレビディレクターらによる作品が刊行され人気を集める。世界の台所を旅して食文化などを紹介する岡根谷実里の「世界の台所探検」(青幻舎)などユニークな本も出ている。

新型コロナウイルスの感染拡大により外出しづらい日々が続く。食のエッセーは外国の美食や国内の絶品グルメなどを名文で堪能できる価値を備える。生活史研究家の阿古真理さんは「好みが一緒だと共感できたり知らない価値観に出合えたりするところ」と醍醐味(だいごみ)を語る。巣ごもり生活や人生を豊かにしてくれる調味料になるだろう。

■ランキングの見方 作品名、著者名(敬称略)。数字は専門家の評価を点数化。(1)出版社・レーベル(2)税込み価格(3)単行本または文庫本の刊行年。写真は三浦秀行撮影。2位の「ミーシカ クランチチョコレート」「GUSTUS ボルシチ」などはVSP(東京・中央)が輸入、3位の地球儀は昭和カートン(埼玉県草加市)。

■調査の方法 2000年以降の刊行、作家による執筆、「honto」の販売実績などをもとに、食エッセーに詳しい専門家が32作品をリストアップ。13人が「読んで食べたくなる、料理をしたくなる」「文章が美しく読みやすい」などの観点からおすすめ順に10位まで選び、編集部で集計した。

■今週の専門家 ▽飯田光平(バリューブックス編集者)▽伊集理予(食と暮らしのメディア「macaroni」広報)▽内田俊明(八重洲ブックセンター営業部マネジャー)▽梅田さくら(調布市立図書館司書)▽木幡宏美(パルコブックセンター新所沢店)▽沢峰子(代官山蔦屋書店料理コンシェルジュ)▽竹田勇生(紀伊国屋書店新宿本店課長代理)▽中沢佑(日販YOURS BOOK STOREブックディレクター)▽萩原健太(フタバ図書商品部書店事業課バイヤー)▽浜本茂(「本の雑誌」編集発行人)▽平祐子(「オレンジページ」編集部)▽平田剛三(「婦人画報」副編集長)▽藤村結香(宮脇書店本店)=五十音順、敬称略

(生活情報部 清水玲男)

[NIKKEIプラス1 2021年2月20日付]


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