2021/3/14
荷室の容量はBOSEのサウンドシステムを標準装備する「ハイエストセット」が341リッターで、その他グレードが366リッター。マイルドハイブリッドモデルは全車400リッター

LCA評価でCO2排出量を最小化

MX-30 EVモデルの販売計画台数は年間500台(国内)。商売として成り立つのか心配になる規模である。マツダはEVが現時点で実用的な乗り物だとは考えていないということなのだろう。このモデルがヨーロッパの環境規制に対応する目的を持っていることは、マツダ自身が公言している。日本においてはマイルドハイブリッド版(月販目標1000台)が主流となることが想定されているのだ。

ボンネットを開けたところ。写真でオレンジパイプ右側のスペースがフロアが見えるほどぽっかりと空いているのは、ロータリーレンジエクステンダー(2022年導入予定)を積むためだろう
充電ソケットは右のリアフェンダーにレイアウトされる。200V・3kW/6kWまたは100V・0.6kWまでの普通充電と、最大40kWまでの急速充電に対応する

MX-30 EVモデルは、内燃機関車と同等の実用性を持つクルマではない。航続可能距離は256km(WLTCモード)にすぎず、日常の買い物や通勤で使うことに特化した設定である。このクルマで東京から箱根を目指してもいいかとエンジニアに尋ねたら、できればおやめくださいと言われた。まっとうな態度だと思う。EVがすぐに内燃機関車にとって代われると言い張るのは不誠実だ。

35.5kWhというバッテリー容量は、発電用燃料の採掘・精製や車両の製造~廃棄までをも考えに入れた、ライフサイクルアセスメント(LCA)評価でのCO2排出量を最小化することを目指した設定である。試算では「マツダ3」のディーゼル車よりも低くなるということだ。マツダが用意した資料にはバッテリー容量95kWhのEVが比較対象として取り上げられていて、グラフを見るとそちらのほうが明らかにCO2排出量が多い。最近たまたま95kWhのEVに試乗する機会があったが、ロングドライブでは冷や汗をかいた。やみくもにバッテリー容量を増やすことが正義ではないことは明らかである。

航続距離や充電時間、車両価格などの項目に目を配り、現時点での最適解としてMX-30 EVモデルを提示したのだろう。マツダらしい細やかな視線が行き届いた魅力的なクルマに仕上がっているのは確かである。誰にでも薦められないのは仕方がない。現在の技術では、EVがすべての面でユーザーを満足させることは困難なのだ。それを前提としたうえで、できる限りのソリューションを探ったのがMX-30 EVモデルである。

(ライター 鈴木真人)

■テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4395×1795×1565mm
ホイールベース:2655mm
車重:1565kg
駆動方式:FWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:145PS(107kW)/4500-1万1000rpm
最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)/0-3243rpm
タイヤ:(前)215/55R18 95H/(後)215/55R18 95H(ブリヂストン・トランザT005A)
一充電最大走行可能距離:256km(WLTCモード)
交流電力量消費率:145Wh/km(WLTCモード)
価格:495万円/テスト車=511万3899円
オプション装備:ボディーカラー<ソウルレッドクリスタルメタリック[3トーン]>(11万円) ※以下、販売店オプション ナビゲーション用SDカード(5万3899円)

[webCG 2021年2月15日の記事を再構成]

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