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ペットは「コロナ禍の癒やし」 支えの一方で心配事も

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ナショナルジオグラフィック日本版

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)はいまだ先行き不透明だが、はっきりしていることが1つある。未曽有の困難を乗り越えるため、私たちの多くがペットに頼っているということだ。

事実、外出もままならない状況が続くなか、イヌをはじめとするペットの需要が世界各地で高まっている。例えば、ペットの里親募集に関する情報を収集するデータシステムの「ペットポイント」によれば、2020年3月~9月、米国の家庭が里親として迎えたペットの数は、前年の同時期に比べて9%増加していた。

血圧の低下やストレスの緩和など、ペットを飼うことが健康にもたらす効果はよく知られているが、ペットと飼い主の関係は複雑だ。長期間のロックダウン(都市封鎖)に両者はどう対処しているのだろうか。

この疑問の答えを探るため、スペイン、英国、イスラエルにおいて、研究者たちがそれぞれ、ペットの飼い主を対象にオンライン調査を実施した。異なる3つの科学誌に発表された彼らの論文によると、おおむね私たちの友人であるペットは飼い主に安らぎを与えてくれているようだ。

ただし、憂慮すべき変化もいくつか確認された。パンデミック後、ペットの幸せについて心配する飼い主が増えていることだ。それだけではない。ほえる回数が増えた、大きな音や突然の音を怖がる、誰もいなくなると不安になるなど、一部のペットには実際にストレスのサインが現れている。

スペインのイヌとネコの飼い主に聞いた

まずはスペインの調査結果から紹介しよう。20年4月、英国ロンドンにある王立獣医科大学の行動コンサルタント、ジョン・ボーエン氏は、ロックダウン中のスペインに暮らすイヌとネコの飼い主1297人に、ペットに対する気持ちやペットの行動について質問し、その結果を学術誌「Journal of Veterinary Behavior」に20年6月13日付けで発表した。

大部分の飼い主は、パンデミックが到来してからペットは「相当な助け」になっていると回答したが、その一方で、62%の飼い主が、ペットの生活の質は低下したと考えていた。また、約41%の飼い主が、ペットの行動がパンデミック中に変化したと報告している。過去に行動上の問題を抱えていたイヌの場合、この傾向は顕著だった。

ボーエン氏によれば、特に飼い主が感情面でイヌに依存している場合、飼い主の気持ちを理解できることはいくつもの研究が示しているという。

「3つの研究結果が驚くほど似ていることは、本当に興味深いと思いました」と、米タフツ大学カミングス獣医学部の臨床助教エミリー・マッコブ氏は話す。「少なくとも聞いたかぎりでは、私たちが米国で耳にしていることとよく似ています」。なお、マッコブ氏はいずれの研究にも参加していない。

「人々はペットを飼い始めていて、ペットは孤独とつきあう上で役立つと気付き始めています」。マッコブ氏の診療の現場では、「もともと行動上の問題を抱えていた動物の場合、その問題が悪化しているように見えます」

すべてのペットについて英国で調査、新たな心配も

英ヨーク大学の上級講師エレナ・ラッチェン氏は20年4月~6月、英国の5926人に自身のメンタルヘルス、幸福度、孤独感、ペットとの絆や交流について質問した。

20年9月25日付で学術誌「PLOS ONE」に発表されたこの調査では、魚類、鳥類、イヌ、ネコ、小型哺乳類など、あらゆるペットが対象となった。イヌを飼っている人の91%、ネコを飼っている人の89%、ウマや家畜を飼っている人の95%を含むほとんどの回答者が、ペットは「大切な気持ちの支えになっている」と述べていた。

ロックダウン前からメンタルヘルスの問題を抱えやすかったと自己申告した人々は、パンデミックの到来後、ペットとの絆が強くなったと回答した。

また、ペットを飼っている人は飼ってない人に比べ、全体的に孤独感や孤立感が少ないと報告した。これは「緩衝効果」のおかげかもしれない。ペットが人同士の社会的交流に取って代わることはないが、その隙間を埋める助けにはなるとラッチェン氏は説明する。

ただし、どちらの研究も、ペットと飼い主の間で新たな心配が生じていると指摘している。イヌが十分な運動をしているかどうか、ペットフードを購入できるかどうか、ペットに医療を受けさせることができるかどうか、自分が病気になった場合、誰がペットの世話をするか、ペットがパンデミック後の生活にどう適応するかといったことについてだ。

イヌやネコは「万能薬」ではない

ラッチェン氏によれば、ペットはメンタルヘルスの悪化や募る孤独感から私たちを守ってくれると広く信じられているが、同氏の研究結果はこの通説を支持するものではないという。飼い主にはペットが心の支えになっているという意見が確かに多いものの、ペットを飼っている人とそうでない人を比べた場合、メンタルヘルスや孤独感の変化についての差はごくわずかだったのだ。

「ペットの利点に関する証拠は、パンデミック前の研究かパンデミック中の研究かにかかわらず、さまざまなものが入り交じっています」とラッチェン氏は話す。「なぜなら人々はペットにまつわる心配事や不安をいくつも抱えているためです」

つまり、イヌやネコを飼うことは、多くの人が信じているように、パンデミックをより健康的に乗り切る助けになるとは限らないということだ。

米タフツ大学カミングス獣医学部の助教として、人と動物の交流を研究するミーガン・K・ミューラー氏も同じ意見だ。

「私が目にするメディアのなかには、『パンデミックで寂しい? ペットを飼うといいよ!』といった感じのものがあります。しかし、実際はもっと複雑で、科学がそれを証明し始めています」

ペットの行動は本当に悪化している?

イスラエルのテルアビブ大学の博士研究員リアット・モーガン氏は20年3月~4月、イスラエルに暮らすイヌの飼い主2906人を調査。その結果、イヌの里親になりたいという希望が大幅に増加していることがわかった。この研究結果は、20年11月24日付で学術誌「Humanities and Social Sciences Communications」に発表された。

モーガン氏は最も印象的な結果として、20年にイヌを飼い始めた人の80%近くはもともと飼う計画があり、「自分たちが何をしようとしているかをわかっていました」。これは人々が衝動的にペットを飼ったわけではないことを示している。

ボーエン氏の研究と同様、モーガン氏の研究でも、生活の質が低下していると感じている人は、ペットの行動も悪化しているととらえがちであることがわかった。たとえそれが事実でなくてもだ。

「客観的に見てイヌの行動が悪いのかどうかはあまり関係ありません」とモーガン氏は話す。「重要なのは飼い主がどう考えているかです」

過剰にほえるといった、より困難な行動は、人々がペットを手放すときに引き合いに出す理由の一つだとモーガン氏は懸念する。

幸い、イスラエルの回答者の大部分は、生活の質が低下していると感じていた人でさえペットを手放す予定はなかった。

それでも、少なくとも米国では、パンデミックをきっかけにペットを手放す人が増えると専門家は予測している。ペットの世話ができない、ペットを飼える手ごろな値段の住宅を見つけられないといったことが理由だ。

ペットの放棄を避けるため、地方自治体や非営利組織が飼い主を支援すべきだとマッコブ氏は提言している。例えば、カナダをはじめとするいくつかの国では、ペットフードバンクが設立されている。

良い方向への変化もある

いずれの研究チームも、自分たちの研究には明るい材料が含まれていると強調する。

スペインの研究では、一部のペットで行動上の問題が増加しているという結果が出たが、その後、複数の国で集めたデータは、ペットたちはほとんど問題なくやっていることを示唆しているとボーエン氏は述べている。

ボーエン氏はモーガン氏と同様、スペインの回答者は自身のレンズを通してイヌの生活の質を評価していると警告する。自身の気分が悪化していれば、ペットもそうなるに違いないと考えているかもしれないということだ。

「パンデミックがペットに及ぼしている影響は、あまり強くないようです」。ボーエン氏の調査では、「新たに行動上の問題を起こしたイヌは皆無に近く、すでに行動上の問題を抱えていたイヌでさえ、多くは悪化していません」

マッコブ氏は将来に目を向け、「パンデミックをきっかけに、私たちはライフスタイルの変化を強いられましたが、そのなかでこれからも残したいものがいくつかあります」と話している。自宅で昼食を取る、イヌの散歩に時間をかけるといったことだ。

「パンデミックによる良い方向への変化というのはとても少ないですから、可能であれば維持すべきです」

(文 RACHEL MAY、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年1月8日付]

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