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10代・20代の不登校・ひきこもりの支援に取り組む松隈信一郎氏

10代・20代の不登校・ひきこもりの支援に取り組む松隈信一郎氏

自信のない子どもたちが増えている。その原因はどこにあるのか。本人の思い込みも大きいが、そうした思い込みを生み出してしまう、親や教師など周囲の大人たちの考え方にも問題がありそうだ。短所や欠点は矯正したところで自己肯定感は高まらない。かえって自信を失ってしまうこともある。そんなとき手がかりになるのが、ロングセラーの『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』(日本経済新聞出版)が紹介する「資質」や「才能」「強み」だ。

その基盤となるポジティブ心理学の研究を専門とする傍ら、10代や20代の不登校やひきこもりの子どもたちを支援し、少しずつ自信を取り戻していく姿を見てきた松隈信一郎氏に、子どもたちとどのような会話をしているのか、何がきっかけとなって子どもたちが自信を取り戻していったのかを教えてもらった。

◇   ◇   ◇

「自分はダメな人間なんです」。ひとり、部屋のなかで悩んできた不登校やひきこもりの子たちと話をしていると、このような言葉によく出くわします。

これは何も不登校やひきこもりに限った話ではありません。いま学校に通っている子どもたちのなかにも、「自分には価値がない」と思っている子どもが少なくないのです。県内有数の進学校に通っていても、まわりが自分よりもできるために挫折する子。中学受験に合格しても、その後の人間関係でつまずき、悩んでいる子。「勉強も部活も得意ではない自分に一体何ができるのだろう」と不安を抱えている子。人間とは複雑な生き物であるはずなのに、「勉強」や「部活」といったモノサシだけで他人と比べられ、自信を失ってしまう子どもたちが多く存在します。

2015年に実施された国立青少年教育振興機構の調査でも「自分はダメな人間だと思う」と回答した高校生が全体の72.5%もいたそうです。

「弱み」を矯正しても、自己肯定感は高まらない

元来、人間の脳は、生存本能によって、いち早く危険なものやネガティブなものを察知できるようにつくられています。この機能(ネガティビティ・バイアスと呼びます)は、危険から身を守るために重要な役割を果たしていますが、こと「自分」という人間を理解しようとする際には、ネガティブな面ばかりに目が奪われてしまう要因にもなります。

本来、誰もが長所や強みを持っているはずなのに、欠点や弱みばかりに目がいき、「自分はダメな人間なんだ」と結論づけてしまう子どもが多いのも、このためなのかもしれません。

そして、子どもも、大人たちも、「この欠陥を修理しないと」と一生懸命、欠点を見つけては矯正しようとします。

しかし、いくら弱みを矯正したところで、「自分は価値のある人間だ」と思えるようにはなりません。「雑草」を抜いても、「花」は咲いてこないのです。

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