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人工知能(AI)は大きな進歩を遂げ、その活用領域が急速に広がっています。身近になると同時にブラックボックス化が進み、超人的なAIの登場を見込んだ脅威論、および、それへの反論が渦巻く状況です。ビジネス活用を進めるうえで「AIの本当の実力」を見極めることが不可欠になっています。でも、そうした見極めは技術者に任せるしかないのでは――そう思われた人にこそ読んでほしいのがメラニー・ミッチェル『教養としてのAI講義』(尼丁千津子訳、日経BP)。AIと付き合うために心にとどめておくべき事柄、言い換えればAIの真の実力とリスクが見えてきます。

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AIの世界的名著を書いたホフスタッターの心配事

『ゲーデル、エッシャー、バッハ あるいは不思議の環』(白揚社)。これは2005年に発売された20周年記念版

『ゲーデル、エッシャー、バッハ あるいは不思議の環』(白揚社)。これは2005年に発売された20周年記念版

『ゲーデル、エッシャー、バッハ あるいは不思議の環』(以下、GEB本)という本をご存じでしょうか。40年以上前に刊行された科学書で、700ページを超える分量(日本語版のページ数)と内容の難解さにもかかわらず、世界的ベストセラーになりました。1980年のピュリツァー賞を獲得しています。

このGEB本は人間の知能の本質を説き、AIの可能性を探った名著と位置づけられています。著者はAI研究者のダグラス・ホフスタッター氏。GEB本を読んでAI研究者を志した人は多く、ここで取り上げる『教養としてのAI講義』の著者であるメラニー・ミッチェル氏もその一人です。ホフスタッター氏のもとに押しかける形で師弟となり、今では一番弟子として認知されています。

前置きが長くなりました。この『教養としてのAI講義』は、ミッチェル氏がホフスタッター氏のお供として、グーグルのえりすぐりのAI研究者たちとの会議に参加したエピソードから始まります。グーグルのAI研究者からも憧れや尊敬のまなざしで見られるホフスタッター氏。しかし、AI研究者たちはホフスタッター氏が発した意外な言葉にとまどいます。

 「こうしたもの(注:AI)をつくろうと人々がやみくもに突っ走って必死になっていることが、私にはとても恐ろしいのです。とても不安で、残念でたまりません。私の胸のなかでは嫌悪、恐怖、不審、困惑、動揺が渦巻いています」
(「はじめに 恐怖にとらわれる」 16ページ)

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