検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

米の探査機、木星3衛星に接近 地球外生命探しに1歩

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

これから数年、私たちは木星やその衛星たちの新たな姿を目にすることができそうだ。2016年から木星を回り続けてきた米航空宇宙局(NASA)の探査機ジュノーが、今年で完了予定だった探査計画を拡張し、木星の衛星やリング(環)に接近して調査を続けることが決まった。

新たに決まったのは、2025年9月まで4年にわたり木星系(木星とその衛星の系)を42回周回する旅。ジュノーは過酷な環境に突入することになるが、地球でこの探査機をサポートする研究者チームは、ジュノーが何を見つけ出すか心待ちにしている。

「ワクワクしています。ジュノーを、木星だけを観察する周回機から、木星系を調査する探査機に移行させるというのは、画期的なアイデアでした」と、ジュノーの主任研究員である米サウスウエスト研究所のスコット・ボルトン氏は語る。

衛星ガニメデ、エウロパ、イオへ

ジュノーはこれまでの軌道の周期を徐々に短くしながら、木星の衛星の中でも注目されている3衛星へと近づいていく。

まず2021年6月には、太陽系最大の衛星であるガニメデのそばを通過する。そして2022年には、生命の存在が期待されているエウロパに接近。さらには硫黄の霜が降り積もり、激しい火山活動が続く衛星イオへと近づく予定だ。

2003年に探査機ガリレオのミッションが終了して以来、ほぼ20年ぶりにこれらの衛星を間近に見られることは、外太陽系(木星やその外側に広がる太陽系)の氷の世界を研究する科学者たちにとってはこれ以上ないプレゼントだ。

「いつも、 #PlanetsAreOverrated (惑星は過大評価されている)というハッシュタグをトレンドに入れようと、がんばっています」と語るのは、惑星科学研究所でイオを研究するジュリー・ラスバン氏だ。「衛星の方が惑星よりも、ずっとおもしろいですから」

今回、木星の3つの衛星を調査することに加えて、ジュノーは木星の環を幾度か通過して詳しく観測する。土星の環と違って木星の環は希薄で、詳細はほとんどわかっていない。

「太陽から離れた外太陽系を調べるミッションはほとんどなく、木星探査機ジュノーを活用できるというのはまたとないチャンスです」と、米ジェット推進研究所で外太陽系の氷に覆われた衛星を研究するシンシア・フィリップス氏は言う。「これはまったく新しいミッションと言っても過言ではありません」

木星での5年間

2011年に打ち上げられたジュノーは、2016年7月4日頃に木星の周回軌道に入った。同探査機の主な目的は、この巨大ガス惑星の重力、磁場、大気、内部を観察することだった。

ジュノーでよく知られているのは、木星の姿を詳細にとらえた素晴らしい画像の数々だろう。かつて人類は、木星の表面にある巨大な渦巻きをはるか遠くから観測するしかなかった。でも探査機ジュノーに搭載された「ジュノーカム」のレンズを通して間近に木星を観測すると、極付近で数多くのサイクロンが集まり斑点模様を描く驚きの世界を初めて見ることができた。

 木星の周囲には、希薄な環に加えて、79個の衛星が回っている。そのうち12個は3年前に偶然発見されたものだ。イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4つの衛星、いわゆる「ガリレオ衛星」は、1600年代初頭にイタリア人天文学者ガリレオ・ガリレイが発見したもので、当初は恒星と考えられていた。

ガリレオ衛星は、太陽系の中で注目を集める天体でありながら、これまで探査機がその詳細を観察できるほど接近したことはほとんどない。探査機ボイジャーが1979年に近くを通過したほか、1995年からの8年間に、探査機ガリレオが木星系の観測を続けたくらいなのだ。

「ガリレオ衛星について、私たちが持っているデータは本当に少ないのです」と、ラスバン氏は言う。

新たな探査に向かうジュノーの最初のターゲットは、ガニメデだ。直径約5200キロを超え、172時間ごとに木星の周りを1周する巨大な衛星ガニメデは、惑星である水星よりも大きい。ジュノーは2度にわたってガニメデの近くを通過する。2021年6月7日が、最初の接近だ。

「木星系がどれだけ大きいかという感覚をつかむのは容易ではありません」と、フィリップス氏は話す。「木星の周回軌道にいるからといって、イオ、エウロパ、ガニメデの近くにいると言うのは無理があります」

ところで、ガニメデは太陽系で唯一、固有の磁場を発生させていることがわかっている衛星だ。科学者はこの不思議な現象について、地球と同じような流動する液状の核を持っているためではないかと考えている。

「あくまで推測であって、確かなことはわかりません」と、フィリップス氏は続ける。月や火星が何十億年も前に磁場を失ったのに対して、衛星であるガニメデがどのようにして今も固有の磁場を維持しているのか、その理由は謎だ。

科学者はまた、ガニメデの氷の殻の下には広い海があるのではないかと考えている。ジュノーが観測を行うことによって、外殻の地図を作成し、殻が薄い地点を探ることができるだろう。重力に引かれてガニメデに接近し、木星の軌道周期を10日間短縮したジュノーはやがて、エウロパとイオに向かう経路へと進んでいく。

2022年9月、ジュノーはエウロパの近くを通過する。エウロパは、太陽系において生命が見つかる可能性が最も高い場所のひとつと考えられている。エウロパは、ガリレオ衛星で一番小さいが、水がある。縦横に交差する筋模様がついた氷の殻の下には、地球の海よりも多くの水を含む海がある。

科学者は、この海には生命が進化、繁栄するために必要な要素、つまり水、エネルギー源、必須化学元素が含まれていると考えている。もちろん、エウロパに生命がいるかどうかは、探査機を十分に接近させて痕跡を見つけ出すまではわからない。ちなみにNASAは現在準備中の「エウロパ・クリッパー」ミッションで、今後15年以内に調査を行うことを予定している。

2022年、ジュノーはエウロパの近くを3回通過する。その際には、水蒸気や間欠泉の兆候を探すことになるだろう。天文学者らは、エウロパでは少なくとも散発的に、そうした現象が発生していると主張している。

「エウロパの水蒸気や間欠泉については多くの議論があります」とフィリップス氏は言う。「ですから、探査機を送って、それらしいものが見えるかどうかを確認するというのは非常に重要なのです」

ジュノーは、氷の殻をスキャンして、どこかに特に薄い部分や、地表の下に液体の水が溜まっているところがあるかどうかを探すこともできる。エウロパで、そうした場所を特定できれば、将来的にロボット探査機が殻の下に埋まった海からサンプルを採取するのが容易になるだろう。ジュノーは衛星の表面をスキャンしつつ、まだだれも見たことのないエウロパの極地の地図を作成していくことになる。

エウロパを通過し、軌道周期がさらに5日短縮されて38日間となったジュノーは、次に地獄のような衛星イオに向かう。

イオには400以上の活火山があり、太陽系で最も火山活動が激しい場所だ。NASAの探査機ニューホライズンズは、2007年に木星のそばを通過した際、衛星表面から320キロ上空に達する噴煙を観測している。

木星のすぐそばにあるイオは、到達するのが本当に難しく、かつ一番危険な衛星だ。イオは42時間周期で木星を回る。木星と極めて近いため、木星とエウロパの両方の重力によって熱せられ、圧迫され、引っ張られている。これがイオの火山活動の理由だ。2023年にジュノーがイオを接近通過する際に、ニューホライズンズがとらえた火山地帯トゥワシュトラからの噴出のような劇的な活動が見られることを、ラスバン氏は期待している。

イオは基本的に常に噴火しており、噴火によって生み出される物質は木星の重力にとらえられて、この惑星の壮大なオーロラを生み出している。

エウロパ、ガニメデと同じく、イオを間近に観測する機会はあまり多くない。探査機ガリレオのミッション終了以降、現在、私たちがイオについて知っていることの大半が、地球の望遠鏡による観測で得られたものでしかない。

「見るたびに、何か新しい事が起こっています。イオの場合は特に、できる限り頻繁に観察する必要があります」と、ラスバン氏は話す。

地球の火山とは異なり、イオの火山はこの衛星の表面全体に無秩序に点在している。こうした分布からは、イオのマグマ溜まりと内部加熱がどうなっているのかについての疑問が生じる。ラスバン氏によると、高緯度の火山は赤道付近の火山とは振る舞いが異なり、噴火の頻度は少ない一方で威力は強いという。

イオの近くをジュノーに通過させる計画を聞いたときには、ラスバン氏は「興奮して飛び上がった」という。「極地の火山を詳細に見ることができるなんて。長年の望みがかないました」

ボルトン氏は、ジュノーを木星に接近させたり、木星の環を通過させたりすることについては心配していないと述べている。

ボルトン氏は続ける。「私たちはジュノーを重装甲戦車のように作りました。そして実際、ジュノーの装甲は非常によく持ちこたえているようです」

(文 NADIA DRAKE、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年2月4日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_