日経エンタテインメント!

日本トップクラスのYouTubeチャンネルに成長しただけに、アーティストからの問い合わせは増加の一途だという。では、出演者を選ぶ基準は一体何なのだろうか。「様々なデータを参考にさせていただいていますが、特にストリーミングの再生数の推移ですね。さらにYouTubeの特性も踏まえ、海外でどれだけ聴かれているのかも重要視しています」(TFT運営スタッフ)。

「THE FIRST TAKE」は今後、立体音響やAIといった、最新のテクノロジーを活用した映像コンテンツの制作も予定しているという

TFTで話題となるアーティストの傾向も見えてきたという。それは、“真摯に歌と向き合う姿勢”だ。「DISH//の北村匠海さんは、まさにその代表例。それまでDISH//はアイドルとしてのイメージが強かったと思うんです。ただ、マイクの前で北村さんが『猫』を歌い上げた瞬間、アーティストとして改めて認識されていくと確信しました。音楽との向き合い方まで映し出す、ドキュメンタリー性も特徴の1つです」(TFT運営スタッフ)

折坂悠太 2013年に音楽活動を始めたシンガーソングライター。「『朝顔』の撮影時には、折坂さんの言葉の選び方、写真の写り方1つひとつにまでこだわりを見せる姿が印象的でした」(TFT運営スタッフ)
yama 昨年春に『春に告げる』がSNS上で大ヒットし、10月にデビューしたシンガー。「声の良さに加え、独特なシティポップ感とファッション性も高い、個性的な方だと感じました」(TFT運営スタッフ)

今後、TFTはどのようなアーティストを輩出していくのだろうか。昨年12月に出演した折坂悠太とyamaに共通するのは、“アーティスト性の高さ”だ。「共に圧倒的な歌声に加え、唯一無二のスタイルを持っている。まさに視聴者が没入してしまう存在だと思います」(TFT運営スタッフ)

TFTは現在、オンラインフェス「THE FIRST TAKE FES」の開催や、ラジオ番組「THE FIRST TAKE MUSIC」(J-WAVE)も始めるなど、多方面へのプロジェクト展開を進める。

新人発掘オーディションも

そんななか、20年11月には新たな発表を2つ行った。1つは配信専門レーベル「THE FIRST TAKE MUSIC」の設立。そして、もう1つが一発撮りオーディションプログラム「THE FIRST TAKE STAGE」。新人発掘にも乗り出し、優勝者にはTFTの出演権と、先のTFTレーベルからのリリースが約束されているという。「歌唱力はもちろんのこと、ここだからこそ伝わる存在感や言葉の力なども、選考基準にしています」(清水氏)

今後は、グローバル展開も見据えている。「実はチャンネル登録者の30%は海外なので、アジアや欧米のアーティストにも出演していただこうと計画しています。また海外では、日本のアニメ主題歌が日本語そのままで受け入れられてもいるので、さらにTFTを通して、海外でも広く聴かれるアーティストの作品を数多く生み出していきたいと考えています」(TFT運営スタッフ)

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2021年2月号の記事を再構成]

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