日本は経済成長がこれからほとんど見込めない。GDPの成長率も2030年以降はマイナス成長やほぼゼロとの予測が支配的だ。

これからの日本は食べるものにも困るような悲劇的な状態にはならないだろうが、世界を見渡したときに相対的にどんどん貧しくなる。これは嘆いても解決しない。労働人口は減り、いくら生産現場の自動化やオフィス業務でAIの導入を進めたところで、国全体の生産性の向上や経済成長には限界がある。

当然ながら、成長が望めない国の財政や社会保障の見通しは明るくない。正直、これを書きながらも暗い未来しか想像できず、恐怖を感じずにはいられないが目を背けることはできない。

まず、財政の状況から見てみよう。

財政の健全度を示すといわれるのが、政府の債務残高だ。これは、対GDP比のことで、ゼロに近いほど健全だ。これが2018年時点で237%。IMF(国際通貨基金)の調査国188カ国・地域中188位であった。最下位だ。

なぜ、こうした事態になっているのか。日本の財政を家計に例えると、毎年、収入より支出が多い状態が続いているからだ。慢性的な借金体質なのである。

税収だけでは予算を組めない。消費税や所得税、法人税などの税収では歳出の約6割しか賄うことができていない。そのため、残りは債券(国が発行するので国債。資金を借り入れたときに発行される借用証書)を発行し、それを中央銀行である日銀が実質ほとんど買い上げている。

この状態を解決する方法は、理論的にはとても単純だ。使うお金を減らせばいいのだ。

家計と同じで、入り口が少なければ、出口を減らせば、借金する必要がないのだが、現実的には難しい。

いちばんの理由は、高齢化だ。いくら頑張ろうと、当然、高齢者が増えることは避けられず、たとえば、医療・介護費用などの増大は不可避だ。

医療、介護や年金などの社会保障費はどのくらいまで膨らむだろうか。これには、いろいろな試算があるが、政府は2019年度に124兆円だった社会保障関係の総支出額は2040年度には190兆円に拡大すると予測している。その中でも、医療介護給付費は現行の2倍近い90兆円を超える水準まで跳ね上がる可能性も指摘されている。

もちろん、若年層の人口が増えていれば支えられる。しかし、もう無理だ。ご存じのように人口減少社会に突入している。

支える若者が減り、老人が増えるのだから厳しくなるのは明らかだ。65歳以上を支える現役世代は1950年には12.1人だったが、2040年には1.5人になる。高齢者ひとりを、かつては胴上げできたのが、肩車しかできなくなるようなイメージだ。

老人が増え、それを支える若者が減る

「少子高齢化が進むと大変なことになる」とは、みんな知っているだろう。しかし、リアルにどのようなことが起こるのか、ここでしっかり押さえておこう。

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国の財源は、私たちの社会保険料からまかなうしかない
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