製造業で先行するIoT 家電や娯楽もデータ活用で変化
(10)IT
よく目にする経済ニュースについての疑問に日経の記者が基礎からわかりやすく答える書籍シリーズ「Q&A 日本経済のニュースがわかる!」(日本経済新聞出版)。最新の2021年版からキャリアづくりに参考にしたい気になるテーマを厳選して紹介します。最終回は、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTについて見ていきます。
A モノづくりの効率化だけでなく、家電の使い方や遊びの世界も変えそうです。一方、セキュリティリスクへの対応が重要です。
IoTの広がりは利便性や満足度を高める
あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things)」の活用が広がっています。IoTの世界では車や家電、工場の設備など、様々なモノがインターネットを経由して情報をやりとりしたり、遠隔制御したりできるようになります。自動運転車もセンサーや通信の技術を高度に組み合わせることで実現できます。
これまでは企業がIoTを使って自社製品に関するデータを収集・分析することで、消費者の利用傾向などをつかむといった使われ方が一般的でした。最近では消費者に対して家電などの利便性や満足度を高める仕掛けとしても使われるようになってきています。
ゲーム開発受託大手のトーセは、IoT関連のシステム開発事業を2020年から拡大しました。ゲームの遊びや競争などの要素を、ゲーム以外の分野のサービスやシステムに適用する「ゲーミフィケーション」と呼ばれる手法を、IoTに応用するためです。
例えば、自動調理器がネットワークを通じて毎日違うレシピを届けるとします。消費者がレシピをもとに料理をつくるとより難しいレシピが届くようになる、といったテレビゲームのような仕組みができます。消費者はゲーミフィケーションを通じて、製品に対する満足が高まります。企業にとっても自社製品のファンを増やしたり、製品の利用データをより効率的に収集可能になるといった効果が期待できます。