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デビッド・ボウイが家族で遊びに 父・寛斎の思い出

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

昨年7月、世界に惜しまれて急性骨髄性白血病で亡くなったファッションデザイナー兼イベントプロデューサーの山本寛斎さん(享年76)は家族思いだったことでも知られる。前回に続き、次女で女優の山本未來さん(46)に幼少時代からの父・寛斎さんの思い出や子育て論、世界的ロックスター、デビッド・ボウイとの家族ぐるみのつき合いなどについて語ってもらった。

穏やか・家族思い・子煩悩……、教育方針は水泳と語学

――未來さんにとって寛斎さんはどんな父親でしたか。

「世間の皆さんには、情熱家でエキセントリックな鬼才のように見えていたかもしれませんが、家ではいたって穏やか。家族思いで子煩悩な父親でした。週末になるとよく家族で一緒に出かけ、公園でボートに乗ったり、動物園に行ったり、買い物などをしたり……。楽しい思い出がたくさんあります。ただ父もデザイナーやイベントなどの仕事が忙しくて家を空けることも多かったので、そんなときには旅先からこまめに手紙をくれました。様々な色のマジックでつづったカラフルな手紙です。今も残っていますよ。だから、父と会えなくても、親子間のコミュニケーションは十分にとれていたと思います」

――しつけや教育には厳しかったですか。

「父の教育方針は次の2つでした。1つ目はイルカのように泳げるようになれということ。2つ目は外国語を1つ以上マスターしておけということ。だから、お稽古ごとは女の子らしいバレエやピアノではなくて、水泳だけ。3歳ごろからスイミングスクールに計10年ほど通い、一応、バタフライまでしっかり泳げます。父も泳ぎが得意なので、国内なら伊東や佐渡あたり、海外ならモルディブなどの海で素潜りし、魚をモリで突いたりしてよく一緒に遊びました」

「学校は小5からアメリカンスクールに行きました。それまで渋谷区立千駄谷小学校に通っていたんですが、両親から『中学受験するか、その勉強時間を語学学習に充てるか、どちらがいい?』と聞かれたので、私は語学を選び、小5の2学期からアメリカンスクールに編入します。英語はゼロからのスタート。かなりきつかったので『途中編入はするもんじゃない』とつくづく思いましたが、そこで頑張ったおかげで、今では英語でまったく不自由しません。様々な人と知り合いになれるし、海外の作品に出演する際のコミュニケーションや芝居にも大いに役立っています」

志したのはデザイナーでなく女優、「有名人の子」が嫌だった

――父親の名声に頼りたくないと思っていたそうですね。

「『有名人の子』として扱われるのがすごく嫌だったんですよ。保育園や小学校に通っていた頃から、友人の親御さんたちが私のことを見ながら、ヒソヒソとささやき合っているのが分かるんです。『あの子、山本寛斎さんの娘さんなのよ』なんて話していたんでしょうね。私は『ただ、みんなと普通に遊びたいだけなのに……。なぜ自分の親が関係あるの?』と子供ながらに疑問に思っていた。色めがねではなく、何もないありのままの自分を見てほしいという気持ちをずっと持っていました」

父の名を隠して受けたオーディション、人の感情を動かしたい

――だから女優になったわけですね。

「そうです。『将来はデザイナーの仕事を継ぐんでしょう』とか、女優デビューした後でさえ『お父さんの力をもっと利用すればいいよ』とか言ってくる人もいましたが、自分としてはそれに強い反発心を抱いていた。やはり父と関係のない世界で自分の力を試してみたいじゃないですか。そういう仕事って、世襲のように単純に引き継ぐものではないと思うんです」

「女優としてデビュー作となる最初の映画オーディションも、父の名前は一切出さずに受けました。選考のための書類には母の名前を書いただけ。きっと、母子家庭だと思われたかもしれませんね。家の職業を聞かれても、『洋服屋です』と答えただけでごまかしていた。とにかく、自分のポテンシャルがどこまであるのかを知りたかったんです。女優の道を志したのは、自分と同世代がテレビで活躍しているのを見て、興味を持ったから。『人の感情を動かす仕事って面白そうだし、何だか自分に向いているかも』と感じたんです」

親子同士のなれ合いは禁物、社会でもまれて人は育つ

――寛斎さんはどんな反応でしたか。

「父も私と同じように『親子同士のなれ合いは良くない』という立場。もっと社会に出てもまれて、それを乗り越えてこそ人は育つという意識が強かったと思います。だから、私が父の会社でアルバイトすることも認めようとはしなかった。ロンドン、パリ、ニューヨークなど海外で開いた父のファッションショーに連れて行ってもらったことも、結局、一度もありません」

「家族で一緒に海外に行くのはむしろ途上国ばかり。新たなエネルギーに満ちていて、創造意欲をかき立てられたんでしょうね。私が初めて行った海外旅行はアフガニスタン。まだ2歳だった私をベビーカーに乗せ、砂漠をバックパッカーのように旅行したそうです。ケニアのマサイ人を見に行った写真も残っています。リゾート地としてそれほど開発されていなかったインドネシアやモルディブなどにもよく行きました」

玄関のドアを開けたらボウイ一家、姉は息子ゾウイと「キデイランド」へ

――仕事とプライベートを明確に分けていたんですね。

「ええ、父は仕事のオンとオフのスイッチをはっきりと切り替えていました。子供の頃、偶然、父の会社に立ち寄ったことがあったんですが、父は私を見るなり、ハトが豆鉄砲を食らったようにポカンと驚いた顔をしていたのを覚えています。『なぜ自分の娘が会社にいるんだ?』と思ったんでしょうね。仕事をしているときの父の顔は少し怖い印象でした。だって、家庭での柔和な父の顔しか知りませんから……。でも怖いと言っても、決して乱暴ではありませんよ。いつも自分のことは『私』や『僕』でしたし、相手のことは『君』や『あなた』で、絶対に『おまえ』だなんて呼ばなかった」

――寛斎さんは世界的ロックスター、デビッド・ボウイとも親友でした。

「コンサート衣装を担当したのをきっかけに親友になったようです。ボウイが衣装をフィッティングするために来日すると、息子のゾウイ(本名=ダンカン・ゾウイ・ヘイウッド・ジョーンズ。1971年生まれでCMディレクターや映画監督として活躍)ら家族を一緒に連れて、私の自宅によく遊びに来たそうです。玄関のチャイムが鳴ったのでドアを開けたら、ボウイ一家が立っていたので驚いたなんて話を、後に母から聞きました。私はまだ幼かったのではっきりした記憶が残っていませんが、ゾウイとほぼ同い年の姉がよく一緒に遊んだようです。2人を東京・原宿の玩具雑貨店キデイランドに遊びに行かせたこともあったらしい。そんな家族ぐるみのプライベートな交流が続きました」

偉大な創造者が身近にいて感謝、第二の人生の新たな出発点

――自分の性格で、寛斎さんの娘だなと感じることはありますか。

「明るさやユーモアは間違いなく父からの遺伝でしょうね。よく笑うし、父ほど自画自賛ではないけど、私も褒められて伸びるタイプ。ただ、迷いながら進むのは良くないという意識が強いので、私の方が少し慎重すぎるかな? そこが嫌なんですけどね……。でも父は創造者として才能にあふれていたし、人生の先輩としても偉大な存在ですから、身近で過ごすことができて、本当に恵まれた環境だったと心から感謝しています」

「今後は女優とプロデューサー、子育ての3本立てで新たな人生に挑戦するつもりです。残念ながら父は亡くなってしまいましたが、父が挑戦し続ける後ろ姿をずっと見てきましたから、私も興味が持てる仕事を自分のやり方とペースで楽しみながら、世の中に元気や情熱を伝えてゆきたい。そんな第二の人生の新たな出発点に立っている心境です」

(聞き手は編集委員 小林明)

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