ホンダ・シビック タイプR ツウもうならす無冠の名車

2021/2/28
ホンダ・シビック タイプRがマイナーチェンジ。進化した走りを確かめた(写真:向後一宏、以下同)
ホンダ・シビック タイプRがマイナーチェンジ。進化した走りを確かめた(写真:向後一宏、以下同)
webCG

欧州のライバルとFF車世界最速争いを繰り広げる「ホンダ・シビック タイプR」が、マイナーチェンジを受けた。派手ではないが、ツウをうならせる改良が施された“現行最終型”の出来栄えやいかに? 進化したその走りを報告する。

実はすでに“完売御礼”

10代目「シビック」をベースとしたタイプRのマイナーチェンジモデルが、国内で発売されたのは昨2020年10月8日だった。その目玉のひとつが、「メガーヌR.S.」に奪われていた“独ニュルブルクリンクFF車最速タイム”の奪還を期して開発された、200台限定の「リミテッドエディション」である。そのリミテッドエディションは案の定、正式発売時点で瞬殺完売だったが、表向きは限定でないはずのカタログモデルですら、それとほぼ同時に“新規受注終了”との情報が広まったのには驚いた。

実際のところ、カタログモデルは2020年11月初旬まではいくつかの販売店にわずかな市中在庫があったようだが、さすがに今となってはそれもほぼ売り尽くされたと思われる。タイプRを含む現行「シビック ハッチバック」を生産する英国スウィンドン工場が、この2021年中に閉鎖予定なのはご承知のとおりで、追加生産も事実上不可能。というわけで、マイチェン版タイプRの“非リミテッドエディション”の試乗は『webCG』では今回が初なのだが、すでに新車購入をおすすめできないのはくち惜しいかぎりだ。

もっとも、このマイチェン版タイプRは、そもそも“さよならファイナルバージョン”的な商品企画だったことも事実。発売は当初から2020年夏の予定であり、それを生産する英国スウィンドン工場は2021年の閉鎖が決まっていたし、次期型シビックの事前キャンペーンが2020年後半からスタートするのも既定路線だった。

それに加えて、新型コロナウイルスがその“手に入れにくさ”に拍車をかけたことは否めない。国内発売が夏から秋にズレ込んだことも、もともと少なかった生産台数に影響したであろうと容易に想像できる。また冒頭のリミテッドエディションが、ニュルブルクリンクで「メガーヌR.S.トロフィーR」のタイムを再更新して飾るはずだった有終の美も、日本からの出張もままならないコロナ禍では夢と消えてしまった。

運動性能や動的質感の向上が図られた「シビック タイプR」の改良モデル。標準仕様も、限定車の「リミテッドエディション」も、すでに完売となっている
より運転に集中できる環境を追求したインテリア。操作系については、各部にスエード調表皮を用いることで素材の質感の統一を図っている

ツウ好みの渋い改良ポイント

とっておきのリミテッドエディションでも、今回のカタログモデルとの差異は大きくない。リミテッドエディション専用となる部分は外板色の「サンライトイエローII」に加えて、超ハイグリップタイヤの「ミシュラン・パイロットスポーツカップ2」への履き替え、それに合わせた可変ダンパーのチューニングの最適化、そして防音材やホイールの軽量化による23kgの軽量化“だけ”である。

そのベースとなったカタログモデルにおける改良内容も、そのメニューを列記するだけでは、拍子ぬけするほど軽微なものに見えなくもない。技術的な最大の改良ポイントは、それ以前にはなかった先進安全運転支援システム「ホンダセンシング」の追加だろう。自動ブレーキや車線維持支援はもちろん、MTながらもアダプティブクルーズコントロールを備える点は、行楽渋滞覚悟で“毎週末のサーキット通い”をするような筋金入りのタイプR乗りこそ重宝するキラーアイテムと思われる。

フロントウィンドウに装備された単眼カメラ。今回の改良では、運転支援・予防安全システムの「ホンダセンシング」が採用された
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