大学入試シーズンを迎えていますが、渋渋・渋幕には米プリンストン大学など海外の大学からも合格の吉報がどんどん届いてきています。この中に米ミネルバ大学に合格した渋幕の高3の生徒がいます。2014年に開校した新興の大学ですが、「ハーバード大よりも入学が難しい」と言われています。特定のキャンパスを保有せず、講義はオンライン。米国や欧州、アジアなど全世界の主要都市を巡って寮生活し、異文化体験をしながら、社会貢献活動もやるそうです。どんなグローバル人材に育つのか楽しみです。
米ミネルバ大に初めて合格 ダイバーシティーな環境が後押し
渋幕からミネルバ大に合格したのは初めてです。しかもこの生徒は帰国子女ではありません。長期の海外経験があるわけではなく、日本で生まれ育ってきたのです。皆さんからなぜこんな生徒が飛び立つのかとよく問われます。1つは学校の雰囲気があります。渋渋・渋幕両校とも帰国子女が比較的多く、ダイバーシティー豊かな環境があります。欧米で児童教育を受けた子どもは、自分と他人の価値を認め、相対化したり、客観視したりする能力を養われている自律的な生徒が少なくありません。やはり友人の影響は大きいのです。
渋渋・渋幕両校とも自分で調べ、考える「自調自考」を教育理念に掲げ、私が中1~高3までシラバスによって定期的に「校長講話」を実施していることも少しは役立っていると思います。この講話は東西の哲学や歴史などをテーマにしたいわゆるリベラル・アーツ(教養)教育です。
ただ、本当に大事なのは家庭環境です。両校の保護者は、家庭でも生徒と政治や国際・社会問題などについてよく話し合うようです。実は私は、両校がそれぞれ開校した当初から保護者向けの「地区別懇談会」を毎年春と秋に開催してきました。東京や千葉など各地を細かく回るので、これで私の大半の土日は潰れます。
「保護者版の校長講話」も実施、親子で話し合える家庭環境を
その時、保護者と話すのは受験の情報などではありません。ティーエンジャーの自我の目覚めなど哲学的なテーマや、欧米や日本の教育がどのような方向に向いているかなどの話をします。中1の生徒には人間関係をテーマに校長講話を実施しますが、同じように保護者にも、教養をベースにした話をするわけです。ソクラテスの「無知の知」などまず自分を理解することを促していきましょうと、「保護者版の校長講話」を展開するわけです。