日経ナショナル ジオグラフィック社

2021/2/23
徹夜明けに爽快感を覚えても、飲酒運転程度にパフォーマンスは低下しているのでご注意を(イラスト:三島由美子)

眠気は「砂時計」と「腕時計」で調整されている

さて、この眠気の強さやパフォーマンスの低下は明け方に向けて文字通り一直線に強まり、ちょうど覚醒してから24時間前後のあたりにピークを迎える。徹夜をしていて明け方に強い睡魔と闘った経験をお持ちの方も多いだろう。翌日が休日ならば、この眠気に乗じて明け方から昼すぎまで爆睡することになる。

起床してから翌日まで睡眠を取らずにパフォーマンスを測定した結果。覚醒してから約24時間後にパフォーマンスは最低となるが、その後覚醒シグナルのために徹夜明けにもかかわらず回復する(Dawsonらのデータ(Nature,1997)から作成)(画像提供:三島和夫)

生体では、「体内時計」と「睡眠恒常性」の2つのシステムが互いに関連し合って、その時刻ごとに眠るか目覚めるかが決められる。体内時計は「腕時計」、睡眠恒常性は「砂時計」と読み替えると分かりやすい。

生体に生じる睡眠欲求は「砂時計」型のメカニズムで強まる。すなわち先行する覚醒時間の長さに応じて砂時計の砂が下にたまるように疲労が蓄積し、眠気が強まる。生体内で砂時計の砂に当たるのが疲労物質や睡眠物質と呼ばれるもので、数多くの候補物質がある(「眠気の正体」)。

ところが、仮に眠気が「砂時計」だけで決められているならば、覚醒直後に最も眠気が少なく、その後時間経過とともに強まり、アフターファイブは眠気のためにエンジョイできなくなる。徹夜など至難の業で、ましてや翌朝に眠気が一時的にせよ解消する(たまった砂が消える)などという現象は生じない。ところが実際にはそうではない。

我々の体内に、日中にパフォーマンスを維持して活力ある生活を送れるようにするシステムが存在するためで、それが腕時計(体内時計)である。朝に起床してからたまる一方の砂時計に抵抗すべく、覚醒度を高める生体シグナルを発揮するようアラームがセットされている。

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