徹夜明け 目が冴えたり爽快感を覚えるのはナゼ?

日経ナショナル ジオグラフィック社

2021/2/23
ナショナルジオグラフィック日本版

写真はイメージ=PIXTA

仕事や勉強、遊びなど、理由はともあれ徹夜をした翌朝に、「明け方までひどく眠かったのに、その後眠気がいったん消えてしまう」という経験をしたことがないだろうか。徹夜明けに出勤や登校がある場合、そのまま起き続けなくてはならない。強まる一方の眠気を抱えたままではとても仕事や授業、試験はこなせないのだが、実際には眠気は一時的に軽減し、爽快感さえ覚えることがある。

睡眠を取らず疲労も蓄積しているはずなのに眠気が解消されるのは考えてみれば不思議な話だが、この目覚め感はどこから来るのであろうか? そこには睡眠制御のメカニズムが深く関わっている。

一般的には起床後に覚醒度(目覚めの強さ)はどんどん高まり、昼食後にいったん低下するが(いわゆる昼寝時間)、その後持ち直し、覚醒してから12~14時間後にかけて最も眠気が少なくなる。この時間帯を「睡眠禁止ゾーン(Forbidden zone for sleep)」、もしくは「覚醒維持ゾーン(Wake maintenance zone)」と呼ぶことは「ああ眠れない…そこは「睡眠禁止ゾーン」だった」「寝てはいけない時間に眠る人々、その傾向と対策」で紹介した。

この睡眠禁止ゾーンを過ぎて夜も深まると眠気は一気に強まり、それと連動して、注意力低下、反応時間の延長、認知機能障害など様々な精神運動のパフォーマンスも低下する。具体例を挙げれば、覚醒してから17時間後(午前7時覚醒の場合、深夜0時以降)を過ぎると、多くの国における飲酒運転の法定基準である血中アルコール濃度0.05%かそれ以上の酩酊(めいてい))レベルまでパフォーマンスが低下することが明らかにされている(「誰にも起こる「危険運転」 睡眠不足は飲酒に近い」)。

日本の酒気帯び運転の法定基準はもっと厳しく、血中アルコール濃度0.03%以上であることを考えると、「徹夜の入り口」段階ですでに思考力は危うい状態にあり、仕事や勉強を行うには非効率であることは明らかなのだが、今回は置いておこう。

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