「今というだけでなく、どの作品においても小手先でやりたくない、ちゃんと常に全力でぶつかっていきたい、という思いはあります。あとはできる限り自然体でいること。少し前、22、23歳くらいまでは『こういうふうにしてやろう』という野望が強くて、現場に入る前に声のトーンや表情などをすごく作り込んでいたんです。でも今はお芝居をする上で、もちろん表情を作り込んだりすることが大事な時もあると思うんですけど、1番大切なのは『そのセリフを言うときに自分が何を感じているのか』という気がしていて。『役というフィルターを通して自分の感情をただぶつけるだけのほうがいいんだろうな』というのが、最近の僕が考えていることです。そういう役作りが正解かどうかは、まだ模索中ではありますけど。

あとは、『青天を衝け』もそうですが、やっぱり何歳になってもチャレンジはしていたいなと思います。『この役できそうだよね』と思われるような役ばかりしていても自分が楽しくないですし。むしろ『いや吉沢亮には、まだ早いだろう』みたいな、そういう何か逆境があるほうが僕はうれしいです。常に何か挑戦している姿勢のままでいたいなとは思います」

(写真:藤本和史)

そんな吉沢が新たにチャレンジしたい役柄とは。また最後に、役者として見据えている未来について聞いた。

「演じてみたい役としては、僕、意外と刑事や医者といった職業ものの役柄にガッツリ取り組んだことがなくて。本格的な刑事サスペンスや医療ドラマに臨んでみたいなという気持ちがずっとあります。

ただ21年はもう、本当に大河一色。見てくださる方々に受け入れていただけるかどうかは始まってみないと分からないですが、とりあえず全力で撮り切りたいと思います。そして大河が終わったら、ちょっとプライベートを充実させようかなと計画中です。

役者という仕事は大事なものですし、『どこまでいけるか』という向上心もありますが、あまりにも役者一色になってしまうと、それはそれで中身のない人間になってしまう気がして。仕事は仕事、プライベートはプライベートという上手な切り分けができる人でいたいなというのも、心掛けていきたいです」

『青天を衝け』
 大河ドラマ第60作。約500もの企業を育て、約600の社会公共事業にも関わった「日本資本主義の父」渋沢栄一を主人公に描く。幕末から明治にかけての激動時代の大渦に翻弄され、挫折を繰り返しながらも高い志を持って未来を切り開いていった、その生き様とは。(放送中/NHK総合日曜20時他)
『AWAKE』
実際の対局を基に描かれた青春映画。人付き合いが苦手な英一(吉沢)は、ライバルに負けたことを機に将棋のプロの道を諦める。その後、英一はコンピューター将棋と出合い、自ら生み出したプログラムで大会を制するほどに。やがて彼のもとに棋士との対局話が舞い込み……。(Blu-ray&DVDは2021年3月24日発売)

(ライター 松木智恵、日経エンタテインメント! 平島綾子)

[日経エンタテインメント! 2021年2月号の記事を再構成]

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