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「仮説を立てて読む」ことで財務諸表が面白くなる

「仮説を立てて読む」ことで財務諸表が面白くなる

会計を学ぶというと「会計用語の暗記」「会計ルールの記憶」「細かい決算処理」をイメージする人が多い。今回紹介する『ビジネススクールで身につける会計×戦略思考』は、ディスカッションをしながら進めるリアルの授業の雰囲気を、活字と図表で再現している。数字の読解力が戦略思考を鍛えることにも役立つことがよくわかる一冊で、若手ビジネスパーソンが会計への苦手意識を拭うのに最適のテキストといえよう。

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大津広一氏

大津広一氏

著者の大津広一氏は米国公認会計士で、経営コンサルティングのオオツ・インターナショナル(東京・渋谷)代表です。会計・財務に関わるコンサルティングに加えて、年間40社の企業を訪問して日本語、英語によるマネジメント教育に従事しています。内容はアカウンティング(財務会計・管理会計)、コーポレート・ファイナンスが中心です。

大津氏は1989年に慶応義塾大学理工学部管理工学科を卒業。米ニューヨーク州ロチェスター大学で経営学修士(MBA)を取得しています。富士銀行(現みずほ銀行)、英バークレイズ証券、ベンチャーキャピタルを経て2004年にオオツ・インターナショナルを設立しました。多摩大学大学院経営情報学研究科客員教授でもあります。主な著書に『ビジネススクールで身につけるファイナンスと事業数値化力』『戦略思考で読み解く経営分析入門』『英語の決算書を読むスキル』があります。

決算書を読む前に考える

決算書を読むとき、上から順番に項目と数字を追っていく人が多いのではないでしょうか。MBAホルダーを目指す社会人が学ぶビジネススクールで教えている著者は「決算書を見てから、その企業について考える」のではなく「その企業について考えてから読む」という習慣を身につけるよう指導しています。

 決算書を読む前に仮説を立てることは、決算書の数値を実際に見る時点で数値の姿がある程度予測できていることを意味する。数値を見てから慌てふためくのではなく、決算書を見る際には、既に決算書の姿がイメージされており、これを検証していくプロセスが理想的な姿となる。慣れるまでの訓練は必要だが、慣れていけば快適なプロセスとなる。どんな仕事でも頭ではなく訓練によって学んでいくように、決算書を読む力もまた、場数をこなす訓練は不可欠だ。
(第3章 企業名のみから決算書を読み解く仮説・検証のプロセス 83ページ)

この「仮説を立てて読む」というスキルを習得するために、本書ではニトリホールディングス、トヨタ自動車、塩野義製薬、セントラルスポーツといった大手企業の実際の財務諸表を教材にして「授業」が進みます。最初に、貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の読み方を学んでいきます。

トヨタ自動車を分析するパートでは(1)企業を想像する(2)仮説を立てる(決算書をイメージする)(3)仮説を検証する(決算書を読む)の順番で進みます。はじめに「例にならって、トヨタ自動車について知っていることを何でも良いので5個以上書き出してみてください」という課題が出ます。それに対して生徒の一人である仲間さんは次のように考えていきます。

・シェアは日本一。たしかグループ全体の国内シェアは40%を軽く超えているはず。
・"トヨタ銀行"なんていうぐらいだから、きっと現金をたくさん持っている。
・原材料を作っている会社との力関係からいったらトヨタの方がきっと強いだろうから、仕入れ代金の支払いは遅い。

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