スーツのオーダー、20代も関心

――おしゃれなアスリートが増えていますよね。フロンターレで影響力がある選手は。

「スポンサーになった15年前は、採寸に行っても細部を気にする人はほとんどいませんでした。それを変えたのが、谷口彰悟選手です。もうファッショントレンドそのものみたいな選手で、パンツの裾幅は16センチ、といった具合にこだわりが強いのです。もともと裾幅は22センチに設定していました。ところが、裾が細いテーパードのシルエットの方がカッコいい、と周りの選手が触発されていき、ついに皆が19センチ、16センチと裾幅を細くするようになりました」

「その後、裾の仕上げのダブルの幅をどうする、裏地は、ネクタイの柄は……という具合に、選手たちの間で、おしゃれ心が高じていきました。15年の間、こんなふうに意識が変わっていくのを見てきて、面白かったですね」

「オーダースーツでは20代のお客さまが増えています。自分だけのスーツを作ってみたいようです」(横浜市のAOKI横浜港北総本店)

――オーダースーツに関心がある男性が増えているというのは本当ですか。

「こちらのパーソナルオーダーコーナーでは、意外に20代のお客様が多いのです。テーラードへの憧れがあって、ボタンや裏地などを選び、手間をかけてスーツを作ってみたい、と思っているようです。オーダー価格が下がったことで顧客の裾野も広がりました。若い人にとっては、店に来て、販売員と話し、さりげないこだわりの仕方や、どこを遊ぶべきかを教えてもらうことが、楽しいようですね」

スーツの内ポケットにはカラフルなラミーのペン。書きやすさがお気に入りという

――紳士服はデザインやディテールの一つ一つに意味があり、服装のルールもあります。ご自身は親から「服育」のような教えを受けましたか。

「親から教えてもらったというより、大学生時代にアルバイトしていた店の販売員さんからスーツの選び方、服のたたみ方、合わせ方などを教えてもらいました。父親(創業者である青木拡憲会長)からの教えは特にありません。ですが、百貨店などを一緒に回って、服を買ったことはよくあります」

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