保険商品ならではのデメリット
元本割れしない代わりにお金が増えることも期待できないという点は、個人年金保険も預金と同様ですが、個人年金保険には預金にないデメリットがあります。
一つは、契約時の利率が契約終了まで続くということ。
例えば1年ものの定期預金を自動継続にしていると、更新時に金利が上がっていたら、高い金利が適用されます。
一方、個人年金保険は年金を受け取るまでの間に金利が高くなったとしても、予定利率は変わりません。今のような低金利のときに契約すると、低い予定利率が20~30年以上も適用され続けることになるのです。
もう一つは途中解約するととても不利なこと。
定期預金を中途解約すると、普通預金の金利が適用されることはあっても、元本割れすることはありません。
個人年金保険は解約した場合、契約してからの年数に応じたお金が返ってきますが、多くの場合その金額は払い込んだ保険料の総額を下回ります。
個人年金保険の加入後に、収入が減ったり子どもの教育費や住宅ローンで家計が厳しくなったりして、保険料の負担が重くなることがあります。でも解約すると損してしまうので、やめるにやめられないというケースを、これまでに何度も見てきました(結局、損を覚悟で解約することになるのですが……)。
iDeCoも60歳までやめることができませんが、毎月の掛け金額は年に1回変更することができます。家計が厳しいときは掛け金を減らし、余裕ができたら増やすといったことができるし、掛け金の拠出を一時停止するということも可能です。
個人年金保険にはそうした自由度がないのです。
外貨建ては為替リスクの割に利率が低い
円建てではあまりに利率が低いので、米ドルや豪ドルで運用する外貨建ての個人年金保険も販売されていますが、今は世界的に低金利なので、外貨建てだからすごく利率が高いというわけではありません。
また外貨建てには為替のリスクがあります。契約時に約束されているのは外貨建てでの年金額であり、年金受取時に契約したときより円高になっていたら、年金額は減ってしまいます。
節税メリットはごくわずか
個人年金保険は「生命保険料控除があるので節税になる」というセールストークが使われることがあります。個人年金保険の保険料は所得から差し引くことができるので、これは事実なのですが、控除できる額には上限があり、所得税は年4万円、住民税は年2万8000円です。年収400万円の人だと、所得税・住民税合わせて節税額は最大でも年6800円ほど。個人年金保険のデメリットを補うほどではないでしょう。
こうして見てくると、円建てでも外貨建てでも、今、個人年金保険に加入するメリットはないことがわかりますよね。資産をつくるにあたって、減らしたくないお金は預金か、国が元本を保証している個人向け国債を利用し、増やしたいお金は投資信託の積み立てを使うのがおすすめです。
