1月にオンライン開催された米国のデジタル技術見本市「CES」では、ソニーが歌手マディソン・ビアーさんの精巧な3Dアバターを披露し、仮想ライブも行いました。

仮想現実(VR)の研究者である池井寧・東京大学特任教授は「本物そっくりの高度なアバター研究が進む一方、バーチャルオフィスのような簡易なアバターのニーズも高い。ますます普及する」とみています。

池井寧・東京大学特任教授「リアルさ追求で活用に広がり」

アバター(分身)の使われ方や研究開発の動向について、東京大学特任教授の池井寧さんに聞きました。池井さんは仮想現実(VR)の研究者で、アバターを使った接客サービスやバーチャルな旅行体験システムの開発にも取り組んでいます。

――デジタルアバターを様々なところで目にするようになりました。

池井寧・東京大学特任教授

「歴史をたどると1990年代に富士通が『ハビタット(Habitat)』という画像付きチャットを運用していました。インターネットが普及する前のパソコン通信の時代です。それまで文字のやり取りだけだったのが、2次元画像の仮想の街の中でアバターを操作してチャットができるようになりました」

「デジタルゲームの世界でも初期からアバターが使われていました。プレーヤーがキャラクターを操作してゲーム空間を動き回っているとき、キャラクターはプレーヤーの代理表現を担っているということになります。また2003年にリリースされた米リンデンラボ社のセカンドライフというサービスが一時期大きなブームになりました。現実世界を代替するメタバースと呼ばれる仮想空間で、経済取引などを含む生活ができるものです」

「今はSNS(交流サイト)でもよくアバターは使われていますし、動画配信するバーチャルユーチューバー(Vチューバー)の多くは、アニメ調のキャラクター姿のアバターを映し出し、本人がしゃべるのに合わせて顔や口元などを動かしています。リモートワークでよく使うようになったビデオ会議システムでも、自分の顔を相手側にそのまま映し出すのではなくて、わざとイラストタッチの顔を選ぶ人もいますね。実際の顔を映す場合も、顔のシミを見えなくするといった美肌機能が使えるものもあります。素顔を一部修整して見せているわけで、これもアバターの一種と言えるかもしれません」

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