日経Gooday

答えと解説

正解は、(1)片側の耳だけ聞こえが悪くなる です。

あるとき突然耳の聞こえが悪くなる「突発性難聴」は、40代、50代を中心に年間3~4万人が発症します。

突発性難聴の症状は突然現れます。「昨日までは普通に聞こえていたのに、朝起きたら急に聞こえにくくなっていたりします。ほとんどの場合、『〇時ごろから聞こえなくなった』と言えるくらい、本人もはっきり自覚できます。ただし、難聴が軽度の場合は自覚するのが遅れることもあるようです」。西横浜国際総合病院耳鼻咽喉科部長の河野敏朗氏は、そう話します。

高齢者に多い「耳が遠くなる」現象(加齢性難聴)は両側の耳に生じるのに対し、突発性難聴は片側の耳だけが悪くなる点も特徴です。また、加齢性難聴は高い音(高い周波数)から聞こえにくくなりますが、突発性難聴では低い音が聞こえにくい人もいれば、高い音が聞こえにくい人、全体的に聞こえにくい人もいます。「難聴以外にも、耳鳴りや耳の閉塞感、めまいなどの症状も現れることがあります。めまいを感じる人は重症度が高いほど多く、特にグレード4(突発性難聴の重症度分類で最も重い高度難聴)の人に見られます」(河野氏)。

突発性難聴の原因は、鼓膜のさらに奥にある「内耳」の血流障害やウイルス感染、ストレス、など諸説あり、実際のところまだ解明されていません。「私の経験では、ストレスや疲れ、睡眠不足からくる患者さんが多いように感じます。持病の有無はあまり関係なく、いつ誰がなってもおかしくない病気だと考えたほうがいいでしょう」(河野氏)。

性差もそれほどないようです。「医療機関によっては男性に多いといわれますが、当院では男女比は半々程度です。年齢は、働き盛りの40代、50代に多い傾向がありますが、30代で発症することもあります」と河野氏は話します。

48時間以内に受診しないと治りにくくなる?

突発性難聴は、発症したらできるだけ早く治療したほうが早く治り、治療成績も良く、時間がたてばたつほど治りにくくなります。一般的には「48時間以内に受診しないと治りにくくなる」とも言われていますが、河野氏は「その数字にあまりこだわらなくていいのではないか」との考えを示します。「当院の統計では、1週間以内に受診すればグレード4の高度難聴でも治るというデータがあります。最悪1カ月近くたってしまってからの受診でも、治る可能性はあると思います」(河野氏)。

突発性難聴で聴力がどのくらい低下するかは人によってさまざまで、軽い難聴からほとんど聞こえない状態まで、重症度は4段階に分けられています。「比較的軽症のグレード1・2なら7~8割は治りますが、グレードが上がると治りにくい人が増えます。当院で重症度の高い患者さんについて調べたところ、グレード3で治癒[注1]が2~3割、グレード4で治癒が約1割という結果でした」(河野氏)。

耳の聞こえに異変を感じたら、できるだけ早めに耳鼻科を受診し、詳しい検査を受けましょう。

[注1]突発性難聴の聴力改善度は、完全に治ることを「治癒」、平均30dB以上改善することを「著明回復」、10~30dB未満の改善を「回復」、10dB未満の改善を「不変」と判定する。

この記事は、 「働き盛りを襲う『突発性難聴』 異変を感じたら急ぎ受診を」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100023/081800078/(田中美香=医学ジャーナリスト)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年1月18日付記事を再構成]

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