日経ナショナル ジオグラフィック社

択捉島の沖で魚を取り囲む巻き網。この漁法ではサメもよく捕獲される(PHOTOGRAPH BY SERGEI KRASNOUKHOV, GETTY IMAGES)

解決策は漁獲禁止か

たとえ偶然であれ、乱獲がサメに与える影響は、漁業を持続可能なものにすることを目標に、政府がより多くの規制を課す動機になるはずだとダルビー氏は話す。ダルビー氏はさらに、絶滅の危機にあるサメやエイの国際取引を制限することも重要だとしている。

だが、道のりは長そうだ。ダルビー氏によれば、北大西洋で絶滅の危機にあるアオザメの漁獲を禁止する案が出ていたが、最近、欧州連合(EU)と米国に阻止されたという。漁獲量の大部分をスペインが占めていることが理由の一つだ。

「サメは最後の無法地帯のようなものです」。ダルビー氏は続ける。「だからこそ漁獲を管理することへの抵抗が少しあるのだと思います」

英サウサンプトン大学の生物学者デイビッド・シムズ氏は、ほかの種では漁獲禁止の有効性が示されていると話す。シムズ氏は今回の研究に参加していない。シムズ氏らは2019年に発表した論文で、大西洋の北西部では、ホホジロザメとニシネズミザメに個体数回復の明るい兆しが見られると報告している。いずれの種も一帯では漁獲が禁止されている。

シムズ氏はそのほかの解決策として、海洋保護区をつくること、サメのホットスポットを禁漁区に設定することなどを提案している。

海洋研究保全組織シャークス・パシフィックの創設者で、ナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラー(協会が支援する研究者)でもあるジェシカ・クランプ氏も同意見だ。クランプ氏はサメを含む回遊魚のため、クック諸島に複数の保護区とサメの禁漁区をつくる支援を行っている。

「これらはヨゴレやクロトガリザメといった種の隠れ家になるかもしれません」とクランプ氏は話す。「いずれも、研究で個体数に大きな問題を抱えていることが確認された種です」

(文 TIM VERNIMMEN、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年1月31日付]

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