オイシックスPR担当、テレワークでもヒット生むワザ
リアルな在宅勤務生活はどんな具合か。生鮮宅配大手のオイシックス・ラ・大地で、ヴィーガンミールキットブランド「Purple Carrot(パープルキャロット)」のPR・マーケティングを担当する尾花美咲さん(28歳)は、昨年の緊急事態宣言中には、部署異動も経験したという。引き継ぎ事項や慣れない業務が多い中、テレワークを活用した働き方でどのように仕事を進めているのだろうか。仕事を円滑に進める工夫と、オンとオフの切り替えについても聞いていく。
ヴィーガンミールキットの多岐にわたる業務を担当
オイシックス・ラ・大地の尾花美咲さんが担当している「Purple Carrot」は、米国生まれのヴィーガンミールキットブランド。肉や魚、卵や乳製品など、動物性の食品を使わない野菜中心のメニューが短時間で作れる食材キットを提供し、ヴィーガン志向の人だけでなく、野菜やヘルシーな食事を気軽にとりたいというユーザー層から人気を集めている。
EC事業部で、インターネットの売り場全体の企画を担当していた尾花さんは、コロナ禍による外出自粛要請期間中の昨年5月にPurple Carrotの事業部に異動。現在はPurple Carrotブランドの企画・PRのほか、Oisixユーザーの利用を促進するマーケティングなどに携わる。コロナ禍の影響でオイシックス・ラ・大地では昨年3月頃からテレワークを導入したため、異動前後の引き継ぎは主にテレワークで行ったという。
「緊急事態宣言中、会社全体の出社率は2割程度に。試行錯誤しながらテレワークでの業務を進める一方、自社のサービス全般で需要が増えたことにより、急きょ仕入れ数を増やすなど調整を各部署で行いました。お客様から、『こんなときにOisixのサービスがあってよかった』という声をたくさんいただき、お客様にとって必要不可欠なサービスに関わっているという実感が強かったですね」と尾花さんは振り返る。
テレワークで手掛けた商品がヒット!
Purple Carrotの企画から携わり大きな反響があったのが、昨年8月、東京・青山のサステナブルグリルレストラン・The Burnでヴィーガンコースを提供している米澤文雄シェフとコラボをした『ベジボロネーゼ』のミールキットだ。
「商品ページやキャッチの企画、デザインから販売までを、開発チームやデザイナーと連携して、オンライン中心の打ち合わせで進めました。米澤シェフとモデルの高山都さんによるインスタライブも企画。米澤シェフのレストラン厨房と高山都さんのご自宅のキッチンをつないでべジボロネーゼを作って、『時々ヴィーガン』をテーマにしたトークイベントを行ったところ、発売後一晩で予定数を完売し、急きょ追加製造を依頼するほど大きな反響がありました」
その後は、オフィス勤務と併用して、週2~3回の在宅勤務をしている尾花さん。マーケティングリサーチや商品開発、製造ディレクション、PR業務のほか、さまざまな部署の社員で構成されるプロジェクトチームのマネジメントも務める。
在宅勤務中の会議はビデオ会議システム「Zoom(ズーム )」を使用。社内メンバーとのコミュニケーションにはビジネス対話アプリの「Slack(スラック)」と米グーグルのビデオ会議システム「ハングアウト」を使い、Slackではチームごとのチャンネルで、会議の議事録やヴィーガンの最新情報などを共有。メールより気軽にメッセージのやりとりができるハングアウトは、急ぎの連絡や、電話で連絡をしたいときの予定確認などに使うなど使い分けをしているという。
働き方の変化で、仕事の進め方を見直した
テレワークを始めた頃は戸惑いもあったという尾花さん。
「製造部門やEC部門など、いろいろなスタッフと連携しながら進める仕事の特性上、当初は出社したほうがオンとオフのメリハリもつくし、テレワークでの仕事は進めづらいように感じました。テレワークが本格的に導入されたことで、これまでの仕事の進め方を見直しました。昨年の緊急事態宣言下は、ちょうど異動前に仕事の引き継ぎをしていた時期。オフィスなら、席まで行って『ちょっといいですか?』と話ができましたが、気軽に会えるからこそ、話す前にきちんと準備をしていなかったなと気付きました」
リモートワークが始まってからは、短い時間で効率的に打ち合わせができるように、事前の準備をしっかり整えるようになったと尾花さん。「ミーティングで、相手の時間をもらうという意識がこれまで以上に芽生えたことが大きな変化です」
(取材・文 川辺美希、取材・構成 加藤京子=日経doors編集部、人物写真 稲垣純也/写真 尾花さん提供)
[日経doors 2020年11月6日付の掲載記事を基に再構成]
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