そうそう、ルールをご紹介する前に、私がライティングをする上で大変役に立ち、いまだにお世話になっている本をご紹介しますね。William Strunk Jr. と E.B. White による「The elements of style」です。米国の高校で先生にオススメされ、それ以来愛用しています。もうお気づきですね? タイトルに「style」が使われています。「文体」のことです。皆様も良かったら参考にしてみてください。英書ですが大変わかりやすく、感動で涙さえ出ます。(私だけ?)

それでは早速参ります。

英語表現には基本的なルールが7つあることをご存じですか。

(1)表現はストレートに
(2)KISSの法則 = シンプルに
(3)常に主語を意識する
(4)より具体的に、より言葉で詳しく
(5)謙遜<自尊心
(6)日本語は縦、英語は横
(7)ジョークやユーモアの心 ――です。

今回は(1)と(2)を見ていきます。

(1) 表現はストレートに

英語と日本語ではレトリック、つまり論理展開の手法が違うのです。起承転結の日本語は周りの情報から入り、途中で展開し、終わりに向かいます。どちらかというとグルグル回っても良いし、寄り道をしてもOKなレトリックです。しかしこれをそのまま英語に訳すと……「 What’s the point? 要は何??」と聞かれます。それは残念ですね。英語のレトリックはストレート。トップからボトムまで一気に降りるイメージで、Coherence (一貫性)がとても大事です。ですから「平素は格別のご高配を承り……」などという表現が英語にはありません。ズバリ要件から入ります。挨拶があったとしてもHello, やHi, などシンプルです。英語のレトリックは三段論法。

(a) __は〇〇です。《Introduction》
(b) 理由は2つあります。1つは……、2つは……。《Main body》
(c) だから〇〇です。《Conclusion》

と、このように(a)(c)は同じで、真ん中に理由を挟んでいるのです。食いしん坊な私は「ハンバーガーみたいだ」と思いました。(a)(c)がバンズ、(b)が100%ビーフ、みたいな。このレトリックは短い自己紹介からスピーチや論文に至るまで応用できます。

英語のレトリックは三段論法。まるでハンバーガーのよう(画像はイメージ=PIXTA)

(2) KISSの法則 = シンプルに

「KISS の法則」って聞いたことありますか? 「Keep It Simple, Stupid.(シンプルにしろ、バカ)」。新聞社に入ったルーキーに先輩記者はこう教えるのだそうです。覚えやすいですよね。丁寧に言おうとしてやたら長い英文にすると、「頭が混乱している人」というレッテルを貼られてしまいかねません。文法的に正しかろうが、そういう問題ではありません。コミュニケーションとして失敗してしまってはダメなのです。ですから「シンプルでナチュラルか?」にこだわっていきましょう。

わたくしが生徒さんのライティング英語の上達度はどこで測っていると思いますか? それは「シンプルに書けるようになっているか」という点です。余計なものをつけないように。シンプルに書けるようになるにはトレーニングが必要です。こうした点もこの連載で学んでいただきたいと思います。

それでは次回は(3)~(7)まで見ていきましょう! See you next time.

神林サリー
Sally’s English Lesson主催、英会話英語学習本作家。大学の専門は英米文学。アメリカ留学後は、ファッションモデルをしながら通訳・翻訳学校でプロの英語を習得。バックパッカー、オーストラリアでの就労経験、大手英会話学校の講師、外資系企業勤務の経験を生かしてレッスンを提供。主な著書に「Easy&Fun!英語で手帳を書こう」「英語で手帳にちょこっと日記を書こう」など。
“リスキリング実践中”の編集者が気づきや学びをお届け
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