コロナ禍で広がるキャッシュレス化 乱立市場の勝者は
(9)ネットビジネス
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よく目にする経済ニュースについての疑問に日経の記者が基礎からわかりやすく答える書籍シリーズ「Q&A 日本経済のニュースがわかる!」(日本経済新聞出版)。最新の2021年版からキャリアづくりに参考にしたい気になるテーマを厳選して紹介します。9回目は、ネットビジネスを決済面から見ていきます。
A 新型コロナウイルスへの感染防止の観点から、現金を触らずに済むキャッシュレス決済の利用が増えています。政府の利用促進策の効果も出そうです。
コロナ感染防止対策のキャッシュレス化が進む
主なキャッシュレスの手段にはクレジットカード、デビットカード、電子マネー、スマートフォン(スマホ)決済(QRコードなど)があります。いずれも「キャッシュ(現金)」を使わずに、買い物や飲食などの支払いを済ませることができます。
新型コロナウイルス感染防止対策のため、なるべく現金を触らずに済むようにキャッシュレス決済を利用する人が増えています。銀行のATMの順番待ちで密になるのを避ける目的で、キャッシュレスを使う人もいます。
政府はもともと2019年10月の消費税率引き上げに合わせ、クレジットカードやモバイル端末を利用したキャッシュレス決済の促進策を打ち出していました。キャッシュレス決済を利用すれば、ポイントを還元するというお得感を売りに消費を下支えする狙いもありました。そこに新型コロナの感染拡大が重なり、キャッシュレスへのニーズが高まっています。
普及度合いを確認してみましょう。経済産業省によると、19年の日本の消費額に占めるキャッシュレス決済の割合は26.8%でした。16年はちょうど20%で、ここ数年で大きく伸びていることがわかります。政府の利用促進策の効果で、特にクレジットカードやスマホ決済の1つであるQRコードの利用が伸びました。20年はコロナ対策もあるので、キャッシュレス決済の比率が上昇するのは確実です。