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『データから真実を読み解くスキル』を著した松本健太郎さん。報道ベンチャーのJX通信社に在籍するデータサイエンティストだ(写真/栗原克己)

『データから真実を読み解くスキル』を著した松本健太郎さん。報道ベンチャーのJX通信社に在籍するデータサイエンティストだ(写真/栗原克己)

「Data is the new oil(データは次世代の石油である)」といわれる時代。仕事でもプライベートでも、データを目にしたり、加工、分析したりする機会が増えたという人は多いのではないでしょうか。

『データから真実を読み解くスキル』(日経BP)

『データから真実を読み解くスキル』(日経BP)

「データ分析とは、アートである」――そう語るのは、『データから真実を読み解くスキル』を著した、データサイエンティストの松本健太郎さん。「データを読む」とは、数字だけでなく、起きていることの全体を解釈し、時に俯瞰(ふかん)し、データの裏にある「何か」を探っていくこと。「多様な知的スキルを組み合わせるという意味において、データ分析はアート」なのだと言います。

例えば、2020年に「電子政府ランキングにおいて日本は14位」という報道がありましたが、データドリブンに深掘りすると、どんな事実が見えてくるか。「多様な知的スキルを組み合わせたデータ分析」とはいかなるものか、松本さんに教えてもらいました(以下は、松本さんの寄稿です)。

◇   ◇   ◇

20年7月10日、UNDESA(国連経済社会局)が国連加盟193カ国を対象とした電子政府ランキング「E-Government Survey 2020」を発表しています。日本の順位は14位でした。前回(18年)の10位から順位が下がったことや、隣国の韓国が2位に上昇したことに触れた報道もありました。そうした視点から見れば、残念な順位とも思えますが、決して低い順位ではありません。G7で日本より上位にランクインしているのは米国、英国のみです。つまり、このランキングを見る限り、日本は電子政府としては「成功した部類」に含まれるのです。

はたして、日本はデジタル後進国なのでしょうか。それとも電子化に成功した政府(国)なのでしょうか。電子政府ランキングについて少し踏み込んで分析してみます。

電子政府ランキングは、次の3つの指標から算出する電子政府発展度指標(EGDI:E-Government Development Index)を順位付けしたものです。

・オンラインサービス指標(OSI:Online Service Indexs)
・人的資本指標(HCI:Human Capital Index)
・通信インフラ指標(TII:Telecommunications Infrastructure Index)
※HCIはUNESCO(国連教育科学文化機関)、TIIはITU(国際電気通信連合)のデータをそれぞれ参照しています。

ランキングは03年から始まり、08年以降は隔年で発表されています。その推移を次の表で見てみましょう。ちなみに日本のマスは黄色に塗りました。

電子政府ランキング(2008年~2020年)

出典「E-Government Survey 2020」ほか

出典「E-Government Survey 2020」ほか

実は、日本は14年に6位(EGDIは0.8874)を記録していました。20年もEGDIは0.8989と過去最高を記録し、18年であれば5位相当の数値でした。しかしその間、他の国もEGDIを大きく上げており、相対的に順位が下がってしまったようです。

ちなみに、上位はデンマーク、韓国、エストニア、フィンランドと続きます。韓国やエストニアはIT立国として比較的有名なので「確かに」とうなずけるランキングです。

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