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2020年のタブローではソーシャルディスタンスに配慮した演出が行われた(学校提供)

2020年のタブローではソーシャルディスタンスに配慮した演出が行われた(学校提供)

洛星中学校・高等学校(京都市)は京都大学や国公立大学医学部に進む卒業生も多い男子進学校だ。ミッションスクールらしく、名物と言えるクリスマスの行事を通じてカトリックの精神や伝統の重みを学ぶ。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が訪ねた。

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理屈でなく、見るものを感動させるイベント

京都の洛星には「クリスマス・タブロー」という名物行事がある。タブローは「活人画」という意味。キリストの降誕について、聖歌や聖書朗読をバックに、美しい衣装やセットを用いて絵画的に表現したもの。動画的な「劇」ではなく、どちらかといえば実際の人物を使った3D静止画の「スライドショー」に近い。12世紀の初めにフランスで始められたといわれている。

洛星のクリスマス・タブローは2020年で55回目を迎えた。自分たちのこだわりを出すことと洛星のタブローの伝統を受け継ぐことのさじ加減が、毎年の課題だ。洛星の卒業生同士が集まると、それぞれのタブローの話題で盛り上がる。毎年京都の紅葉シーズンが終わると、「そろそろタブローの季節だな」と思うのが、洛星出身者の心情なのだそうだ。

副校長の藤原義久さんは、「あんなに厳粛で美しい時間をすごすことはいまの子どもたちにはなかなかないでしょうから、初めて見た子どもたちは感動します」と言う。宗教部長でオーケストラ部の顧問でもある西尾望さんは、「この学校に赴任して、タブローを初めて見たときには涙が止まりませんでした」と証言する。

社会科の松本貴裕さんは、洛星の卒業生。「小学5年生のときに洛星のタブローを見に来て、『この学校に入りたい』と思いました。当時は、『わかんないけど、なんだかすごい!』という感想でした。何か、どしーんと来るものがあったんです」と声を弾ませる。もちろん在学中は毎年深くタブローに関わり、いまではタブローの語り部として、後輩たちの相談役になっている。

初めてタブローを見た子どもたちは、自分でも知らなかった自分の感受性に気づくのである。そしてその感動を伝える側になりたいと思うのだろう。理屈ではない。

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