リモート時代はユーチューバーも手本に

これまでの話し方本との大きな違いは、コロナ禍を受けて書かれている点だろう。共感される話し方を説く第4章では、「とくにリモート時代には、物理的な距離を乗り越えて、心の距離を縮めるコミュニケーションノウハウが、より重要になります」と指摘する。リモート時代のプレゼンエリートは人気ユーチューバーかもといい、ユーチューバーに学ぶ6つの話し方のコツなども示される。

同じ章で退任してもなお大きな影響力を感じさせるトランプ元米大統領を取り上げ、「彼は『いい人』ではないけれど、支持者を『いい気分にさせる』天才」と評する。この「力を与える&共感型」の話し方はトランプ氏から学ぶべきものだと説く。ポストコロナのリーダーはただのいい人ではダメで、いい気分にさせる、共感を引き出す話し方が武器になるというのだ。こうした事例に続けて、「相手の感情を刺激して、話し手と聞き手の間に共感状態をつくり上げる」といったメソッドが紹介される。

「いろいろなリーダーたちのエピソードが入っていて、これまで話し方本をバカにしていたような人にも読まれている」と、同書店でビジネス書を担当する岡崎史子さんは話す。

生き方本が上位に

それでは先週のベスト5を見ていこう。

(1)起業は最上の冒険である。山口孝志著(サンクチュアリ出版)
(2)1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書藤尾秀昭編(致知出版社)
(3)物流革命2021角井亮一監修(日経BP)
(4)思い描いた理想をすべて手に入れる生き方土井あゆみ著(きずな出版)
(5)2040年の未来予測成毛真著(日経BP)

(三省堂書店有楽町店、2021年1月18~24日)

前回の八重洲ブックセンター本店のベスト5と同じ本が3冊入った。2位の経済人やスポーツ選手、さらには無名の市井の人まで、本人が語った仕事や人生についての話を日めくり的に採録した本、3位の物流業界の最新事情を紹介したムック、前回「2030年と2040年 日米2つの予測本が指し示す未来とは」の記事で紹介した5位の成毛真氏の未来予測本だ。1位には投資教育を手がける会社を起業した社長が自らの軌跡を語った本、4位には女性起業家による生き方本が入り、生き方を語る本が目に付いた。今回取り上げた話し方本は6位だった。

(水柿武志)

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